
※本記事は、早坂どあ氏の書籍『携帯エアリー』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
【前回の記事を読む】知らないうちに殺人事件に加担!? 割のいい仕事に隠された罠
携帯エアリー
二週間が過ぎた。警視庁では、決定的な証拠は掴めず、指紋、声紋、筆跡が一致したことで、その一致した人間を犯人にしてしまおうかという上司からの提案までが出て来た。しかし、刑事たちはそれは冤罪でやってはいけないことだと思っていた。
そんな中、捜査二課から、オレオレ詐欺の受け子の中の一人が裁判で、箱長のフルネームを言ったのだが、その名前は偽名で本名は大木正臣。ある卒業生名簿の中にその名前入りの写真があったことが二課の別の受け子からの情報でわかった。どうも、その人物が省吾の描いた似顔絵とよく似ていて、もしかしたらパーフェクトの社長ではないかという話になった。
省吾は受け子やかけ子をやっていた男に会いに二課まで行った。
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「刑事の相田と言います」
「こんにちは」
「こんにちは。早速ですが、大木さんのことでお聞きしたいのですが……」
「はい」
「なぜ、箱長が大木さんだとわかったのですか?」
「受け子やってた時、資料集める係のやつが、卒業アルバムの中に箱長にそっくりの生徒がいるって言うんで、顔を見たら確信しました」