
終末とかアポカリプスとか終わりの始まりとか、そんな言葉がスラスラと出て来るほど不気味な光景が目撃された。
空が血のように赤く染まっていたのである。これは中国、浙江省舟山市で5月7日に発生したもので、住民らに投稿された動画には、異様なほど真っ赤に染まった夜空が映し出されている。
Zhoushan City’s blood-red sky explained
血の色に染まった夜空に怯える住民たち
血の色の染まった空が撮影されたのは5月7日の夜のこと。動画は中国のSNSで拡散され、舟山がロックダウン中の上海に近いことから、新型コロナ対策に関連しているのでは?との憶測が流れた。あまりに不気味な光景に、動画を目にした人たちは中国版SNS抖音に「血のように赤く不吉だ」や「7日後に地震がある」、あるいは「この世の終わりだ」といったコメントを書いている。
また、赤は中国の象徴なのだから「幸運と繁栄」のサインだと、不安な気持ちを無理やり振り払うかのようなコメントもあった。

赤く染まった空の原因は?
この騒ぎに対して舟山市の気象当局は、超自然的な現象などではなく、「光の屈折」によるものと発表した。気象局によれば、5月7日は濃い霧と雲が低く垂れ込めていたという。大気中の水分がエアロゾルを形成し、これが反射板の役目となり、漁船の光を屈折させた。
中国の公共放送「中国中央電視台(CCTV)」によると、地元のサンマ漁船は赤いライトを使っており、このライトが大本の原因とみられている。
赤いライトが光の屈折により海面で反射し、それが空に映し出され、今回のような血のような空になったそうで、これは沿岸部では一般的な現象であるそうだ。

なお舟山市気象局は、赤い空が観測された土曜の夜から日曜日明け方まで、「視界不良」の警報を出していた。
これと関係するかは不明だが、動画では空から磁石にくっつく粒子が降ってきたと報告されている。
BRIGHT RED SKY BLANKETS CITY
今回の赤い空は夕焼けにも似ている。SNSには不吉との声が溢れているが、本来夕方の赤い空は、船乗りにとっては嬉しい兆しだそうだ。
英語のことわざで「船乗りの喜び」(Red sky at night, sailors delight)と表現されることもある。
夕焼けは、西に高気圧があり、天気が穏やかであるサインだからだ。
しかし近年では、夕方の赤い空はまた別の意味を持つようになった。街灯が増えたことで、本来の赤い色から黒っぽい色に変わってきたからだ。
少し前まで夜空はかなり暗かった。光源となるものといえば月しかなく、満天の星空と白く輝く天の川を楽しめたものだ。
References:Blood Red Sky Phenomenon Explained: Shanghai Skies Scare People, But Is This Just a Light Refraction? | Science Times / written by hiroching / edited by / parumo