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小学生はどんな出会いによって、心が動き、行動が変わるのか?

パラサポWEB

前澤:僕も中山さんと同じように思いました。金メダルを獲る人は、悔しい思いをたくさんしてきて、それに向かって努力をしてきた人なんだなと感じました。

ーー前回と今回の特別授業で佐藤選手の話を聞いて、影響を受けたことや自分自身の変化はありましたか?

中山:「目標をすぐ口にする」ということが一番印象に残っていて、まだ何もしていないところから、自分はできるんだと言える勇気がすごいなと思いました。僕もそれに倣って、勇気を出して一歩踏み込んでみようかなと思うことがたくさん増えました。これからも、たとえ誰かに笑われたりしても、目標に向かって自分はやるんだという強い意志でやっていきたいなと思います。

前澤:プレッシャーをいい方向にもっていく、ということがすごいなと思いました。僕もそういった状況があるので見習いたいです。実際に変わったことは、目標を達成したときに、次の目標をすぐに作って、それを達成しようと頑張ることが増えました。スポーツではないですが、僕は受験をする予定なので、同じように頑張っていきたいと思います。
他にも、前回の特別授業後のクラスでは「すごかった!」と口にする生徒が多かったという。赤坂小では、授業の一環で車いすバスケットボール車いすテニスの体験を行ったこともあり、子どもたちは車いすの操縦がどれほど難しいかわかっているのだ。それゆえ、佐藤選手の努力が凄まじいものであることを肌で実感したのだろう。

パラアスリートとのリアルな交流は、多様性を肌で感じて学ぶ、絶好のチャンス

港区立赤坂小学校の齋藤恵校長

齋藤恵校長は、今回のような特別授業は今の時代に合っていると語る。

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「多様性を認め合う時代の中で、そうは言っても障がいのある方がどういう生活をしているのか、どういう競技をやっているのか、子どもたちはほとんど知らないわけですよね。そうなると、まずは“知る”ということが第一歩です。そういう意味で、パラスポーツやパラアスリートを通して知っていくことは、入口としてすごく入りやすかったと思います」

また、佐藤選手が再度来校し、実際に夢をかなえた姿を見て、交流することは子どもたちにとって非常に意義のあることだとも言う。

「例えば街中で障がいのある方とすれ違っても、今回のようにご本人にいろいろと質問させていただくのは難しいですよね。パラスポーツのことをよく知る、よく理解できる機会を持てるのは学校ならではだと思います。そして実際に佐藤選手に来てもらい、さらに次を目指している姿を見せてもらうことは、本当にありがたいことです。学校という場を活用して、今後もこういう機会を設けられればいいなと思います」(齋藤校長)

5年生担任(当時)の関口由美子先生

また、今回の特別授業は担任の関口先生が、<町にはいろいろな人がいて、お互いを認め合い、助け合っていける世の中にしていく>ということを趣旨に企画したという。

「一般的に、障がいのある方に対して、かわいそうだから手伝わなくてはいけないという感覚を持っていることが多いと思うのですが、でもそれは人として違うなと思うんですね。そこで今回のように佐藤選手をお迎えして実際にお話を伺うことで、分かることがたくさんあります。例えば、人生にはいろいろな困難がありますよね。山あり谷ありだし、そして夢もある。うまくいかないときは自分に言い訳をするし、すぐに諦めたりしがちです。そんな中で、障がいのある方が目標に向かって努力をしている姿を見ること、話を聞くことは、自分の人生にとって大きな意義があると思います。実際に前回の特別授業の後、子どもたちから、街中で車いすに乗っている方に声をかけてみたい!という声も上がりました。そういう気持ちの変化も見られたのは本当によかったなと思いますし、児童はもちろん教員である私自身も、人間として大事なことを教わったと思います」(関口先生)

子どもたちとの「金メダル獲得」の約束を守り、再度特別授業を行った佐藤選手。トップアスリートの貴重な体験談と熱い想いを聞くことは、生徒たちも大いに感じるものがあったはずだ。東京2020パラリンピックでの金メダルだけでは満足せず、「パリ、ロサンゼルス、ブリスベンと3大会同じ種目で金メダルを獲得し、記録を更新し続けることを目標にしています」と、今後も前へ進み続けると宣言した。そんな佐藤選手との交流は、生徒たちにとって各々が目標をかなえるための原動力となる貴重な体験となったことだろう。

text by Jun Nakazawa(Parasapo Lab)
photo by Yoshiteru Aimono

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