
月はその重力で海の満ち引きを作り出し、地球の傾きを変えてもいる。もしも月をなくなったらどうなるのか?本当に地球にとって必要なものなのか?
少なくとも、アメリカの科学者は不要であると考えた。
アイオワ州立大学の数学者、アレクサンダー・アビアン教授は、月がなくなれば、地球の気候は穏やかになり、事実上あらゆる問題が解決されると考えた。
そこで月の爆破方法を考案し、大真面目に月を消し去る計画を練っていたようだ。今から約30年前のことである。
数学者が提唱した月爆破計画
アレクサンダー・アビアン教授は、1991年に大学の新聞でこの「ムーンレス地球論」を発表した。この理論によると、月を消し去ることで地球のぐらつきがなくなる。つまり2万1000年周期で変化する地球の傾きがなくなる。
すると、台風・洪水・山火事などを引き起こす、気まぐれな熱帯気候現象から解放され、地球の天候が穏やかになるのだという。
アビアン教授は月の破壊方法も考えた。「地中深くまで穴を掘り、そこに原子爆弾を設置」する。そして「遠隔操作で地球から起爆スイッチ」を入れるという。

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小惑星を核で爆破する計画も
人は時折、核兵器で吹き飛ばせば、あらゆる問題も吹き飛ばされるという考えに魅了されるようだ。1998年のアメリカ映画『アルマゲドン』では、地球に迫り来る小惑星を爆破するという物語がドラマチックに描かれた。
ハリウッドだけではない。小惑星の危険性については、宇宙の科学者たちも認識している。
たとえば、NASAのNEOWISEミッションでは、宇宙望遠鏡を覗き込み、地球を脅かす可能性がある地球に接近する軌道を持つ天体「地球近傍天体(NEO)」を探している。
その危険性は、2013年ロシア、チェリャビンスクに小惑星が飛来し、1500人が怪我をしたことからもわかるだろう。
核兵器は、こうした小惑星に対する最高の防衛法とみなされることもある。実際数年前には、米国とロシアが核による地球防衛イニシアチブについて話し合ったとの報道もあった。

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実際に月を爆破するとどうなる?
アビアン教授のアイデアは一見よさそうに聞こえる。だが、NASAの研究者を信じるなら、そんなことをすれば一巻の終わりだ。月を爆破すれば、かなりの大きさの地球近傍天体(NEO)が発生し、地球に衝突。生命はこの世から消え去るだろうという。
人類がいなくなれば、ある意味地球の問題からを解放されるかもしれないが、アビアン教授が想定する形ではないだろう。
だが、彼ははそんなことで心が折れたりはしなかった。
「私ののアイデアなどもってのほかと否定する人間は、ガリレオを否定した人間と似ている」当時、彼はこう言ったそうだ。
References:The Professor Who Wanted To Blow Up The Moon To Solve All Of Life’s Problems / written by hiroching / edited by / parumo