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【映画コラム】事実と創作の間とは…『オードリー・ヘプバーン』『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』

エンタメOVO

『オードリー・ヘプバーン』(5月6日公開)

 往年の名女優オードリー・ヘプバーンの軌跡を描いたドキュメンタリー。監督はヘレナ・コーン。息子のショーンの証言を中心に、友人たちや、オードリーが出演した『ニューヨークの恋人たち』(81)を監督したピーター・ボグダノビッチ、『オールウェイズ』(89)で共演したリチャード・ドレイファスらも証言する。特に、市井の友人たちが語る彼女の素顔が新鮮に映った。

 登場する主な映画は、端役時代の何本か。そしてアカデミー主演女優賞を受賞した、ウィリアム・ワイラー監督の『ローマの休日』(53)、ファッションデザイナーのジバンシーと出会った、ビリー・ワイルダー監督の『麗しのサブリナ』(54)、そのファッションをさらに発展させた、ブレーク・エドワーズ監督の『ティファニーで朝食を』(61)、フレッド・アステアとダンス共演した、スタンリー・ドーネン監督の『パリの恋人』(57)、歌を吹き替えられた、ジョージ・キューカー監督の『マイ・フェア・レディ』(64)、最初の引退作となった、テレンス・ヤング監督の『暗くなるまで待って』(67)…。

 決してグラマーではないオードリーは、それまでのハリウッドの美人女優の常識を覆し、一種のファッションアイコンにもなったのだが、その点について、彼女の「役作りの助けは衣装。その役の姿が分かるとやりやすかった」という言葉は象徴的だと思った。

 一方、俳優のメル・ファーラー、精神科医のアンドレア・ドッティとの結婚に破れた私生活でのオードリーについて、バレリーナとしての挫折、戦争が残した傷、父親に捨てられた過去やコンプレックス、男運のなさなどが浮き彫りにされると、改めて、人間は全ての幸福を手に入れられるわけではない、という当たり前の事実に気付かされる。

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 そして、孫が「世界一愛された人が愛に飢えていた」と語るオードリーが、晩年、ユニセフ親善大使として、恵まれない子どもたちへの救済に自身の存在価値を見いだし、まい進していくのは、ある意味、必然だったのかもしれない。この映画を見るとそんなふうに思えるのだ。

『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(5月6日公開)

 1990年代のニューヨーク。作家を夢見るジョアンナ(マーガレット・クアリー)は、老舗出版エージェンシーで、有名作家J・D・サリンジャー担当のマーガレット(シガニー・ウィーバー)のアシスタントとして働き始める。

 ジョアンナの仕事は、世界中から大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターの対応処理。それは、簡単な定型文を返信するだけの作業だったが、ジョアンナは、心に訴えかける手紙を読むうち、自分の文章で返信を出し始める。そんなある日、サリンジャー本人から一本の電話が入る。

 ジョアンナ・ラコフの自叙伝を映画化。監督は『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』(14)のフィリップ・ファラルドー。

 大まかにいえば、都会で「特別な存在」になりたいと願うジョアンナの自分探し、というよくある話だが、そこにウィーバーが好演する上司とサリンジャーを絡ませることで重層的なストーリー展開が生まれた。

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