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4度目の日本一に輝く!車いすカーリング・北見フリーグス

パラサポWEB

だが、北見には後半が強い自信もあった。ハーフタイムを終え、ここまで慎重に試合を進めていた北見は、作戦を変更。これまで外側のコースを使っていたが、センターを攻める作戦に変更。それが功を奏し、チームは息を吹き返した。

その後、ショットが決まらない札幌をジワジワ追い詰めていく。同点で迎えた最終エンド、3点を追加し、勝利。北見が予選から負けなしの完全優勝を飾った。

優勝を喜ぶ北見フリーグス

試合後、坂田谷は初の全勝優勝を喜びつつ、「『なんとか、勝てた』という感じでしたね。勉強させてもらいました」と振り返り、好勝負を演じた相手、「札幌ブレイブス」をたたえた。

「相手は最後のエンドで(有利な)後攻という、プレッシャーがあったと思う。うちのほうが少しミスが少なく、それが勝利につながった」

スイープのない車いすカーリングは、健常者のカーリングよりショット率が低く、セオリー通りに勝つことが難しい。だからこそ、ラストロックまで気が抜けない。坂田谷は安どの表情をにじませながら、「もう少し気持ちに余裕のある試合がしたい。ショット率で勝負するのではなく、作戦面をもっと考えなければいけない」と課題を口にした。

「個人的には念願だった北海道同士の決勝が実現して嬉しかった」と坂田谷

見据えるのは4年後、8年後

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優勝した北見は、11月にフィンランドで開催される「世界車いすBカーリング選手権」の日本代表に確定。2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季パラリンピックに出場するために、まずは同大会で上位になり、Aプールに上がる必要がある。

「やっぱり最高峰のパラリンピックに出場したい。イタリア、そしてもちろん、札幌が招致している2030年も目指している」

そう目標を明かした坂田谷は「でも」と続ける。

「自分はいま53歳。(リードの松田が)24歳で平均年齢を下げてくれているが、男性陣は全員40歳以上。どのチームも高齢化が進んでいて、選手の入れ替わりもない。どこまで持つのかという不安はある」

パラアルペンスキーから車いすカーリングに転向した坂田谷は、北京冬季パラリンピックのアルペンスキーを見て、エースに入れ替わりがないのは他のパラスポーツにも共通している点だと感じた、という。
「急激に競技人口を増やすのは難しいかもしれないが、(長くできるスポーツなので)他の競技を終えた選手にも参加してもらいたいし、二刀流もウェルカム。チーム数や選手が増えないと競技レベルは上がらないので……」と競技の普及を切に願った。

リードとしてショットを放つ松田(写真)は北見フリーグスの最年少だ

一方、「同世代の選手と一緒にカーリングがしたい」という24歳の松田は小4で競技を始めた。

なぜ続けることができたかと尋ねると、「環境が整っていることが大きかった」と即答した。

「学生時代はとにかく練習場に行くのが大変だった。両親の理解と協力はもちろんだが、チームにも理解があり、送り迎えをしてくれていた母親に仕事があるときは、チームメートが迎えに来てくれて練習に連れていってくれた。いざ始めようとしても、遠方への移動や金銭面がネックになりがちなので、そこの援助があればいいのではないかと思う」

車いすカーリングの魅力は、年齢問わず、誰でもできること。
「デリバリースティック1本さえあればできるので、ぜひ競技の魅力に触れてほしい」

そうメッセージを残した松田は、北見に戻るとすぐにチームメートとともに練習を再開させた。

北京冬季オリンピックから続く、カーリング熱が車いすカーリングの盛り上がりにつながることを期待したい。

1位は北見フリーグス(中央)、2位は札幌ブレイブス(右)、3位はチーム長野(左)

text&photo by Asuka Senaga

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