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「揺れたその瞬間に死なない」が何より大切| 木原実 日本テレビお天気キャスター③

防災ニッポン

「今、地震が起きても大丈夫」の状態をいつも心掛ける

「地震と他の自然災害との一番の違いは何か」。長年、気象予報士と防災士の勉強をしている中で気が付きました。風水害は予知できます。台風が発生したら、いつ日本に上陸するのか。何時間前に暴風域に入るのか。暴風域に入る確率まで分かります。「雨が何ミリ降ると、この崖が崩れるのか」ということも計算で分かるようになっています。気象情報が出て、被害の想定に合わせて注意報、警報、そして避難指示が出ます。まだ避難指示などが認知されておらず、逃げ遅れてしまう人がいるという課題はありますが、あらかじめ想定される被害状況が分かるのです。

地震は、「いつ起きるか」ということは明確にできません。「予知できない」ということは、「今、この瞬間に地震が起きても大丈夫だ」という状態を目指す必要があります。これが地震に対する防災の一番大事なことです。では防災対策で今、しなければいけないことに順位をつけるとすれば何か。「非常食を買っておこう」と思う人もいるでしょう。気の利いた人は、「自宅の家具を倒れないように固定しよう」ということを考えるかもしれません。もちろん大切なことなのですが、一番大事なのは「揺れたその瞬間に死なない」ことだと思います。これを持ってして、防災は完了といってもいいくらいです。地震の揺れは長くて数分。短い場合は数秒です。その揺れが震度6強、7だった場合にはいろいろなものが崩壊していきます。一瞬にして命が奪われる地震が過去に何度も起きています。

僕自身は、いつ地震が発生するかが分からないので、もしもの時に命をつなげる道具として、「持ち歩き袋」を携帯しています。「持ち歩き袋」自体は小さくてもいいんですよ。お弁当箱を持ち歩くような感覚で、習慣にすれば負担になりません。僕のふだんの「持ち歩き袋」には、ライト、軍手、レジ袋、ラジオ、ライター、ビニール袋、絆創膏、手ぬぐい、ソーイングキット、マスク、携帯トイレなどを入れています。ライトはスマホのライト機能は使わずに通信用として電源をとっておくために持ち歩きます。軍手は、避難する際の体温維持やガレキを動かしたりする時のけがを防ぎます。レジ袋は、水を運ぶなど役に立ちます。ビニール袋は雨の時に穴を開けるとポンチョとして使えます。手ぬぐいは、ハンカチより使い勝手が良く、包帯にもなります。このほかに、必要に応じて常備薬やコンタクトレンズ、衛生用品などがあると良いでしょう。避難して家に帰るまでの間に「何がいるだろう」と考えた結果です。まずは生きることです。

(木原さんの「持ち歩き袋」)

歴史から学ぶべき教訓、繰り返し伝えていく使命

自然災害では、想定外の被害が起きるのが常です。東日本大震災の前にも、東北地方では、100年ごとに地震による大きな津波の被害がありました。869年の貞観地震の際には、東日本大震災と同レベルの津波が襲っていました。実際、被害に遭った地域では、その時の津波の被害から「ここより下に家をつくるべからず」と伝える先祖の教訓も残っていました。ただ、東日本大震災では、この教訓がけっして生かされていたとはいえない津波による甚大な被害が出てしまいました。

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日本三大祭りの一つ祇園祭は、平安時代に流行した疫病をおさめるためだけではなく、貞観地震や津波、富士山の噴火など当時、頻発した自然災害を減らすことを願って始まったとされる説もあります。現在、祇園祭と地震や津波を結びつけて考える人は少ないでしょう。こうした地震による被害について、「防災の日」になっている関東大震災をはじめ、東日本大震災や阪神淡路大震災が発生した日に、起こったことを思い出して次の世代に伝えていかなければならないと思います。

阪神淡路大震災の被災地は、都市部が多く、東京と似たような住宅地が多くあります。阪神淡路大震災で、どうして人が命を失ってしまったのか。勉強して同じことを繰り返さないようにできることをしていきたいです。家が丈夫でも家具の下敷きになって逃げ出すことができなくなる場合もあります。家具の固定と耐震補強をした場合は、被害をここまで減らせる、という試算も出ています。地震で死なないための知恵、被害を減らすことを繰り返し伝えていきたいです。

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