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パフォーマンスを上げたい女性アスリート必見!生理に伴う不調、どう改善する?

パラサポWEB

たとえば、毎週末試合のあるゴルファーの場合、4週間に1回PMSの症状が出て“もう、今週は無理!”と言ってパターを投げてしまうような状況だったとしても、ピルの処方によって驚くほど改善するのだそう。生理中の生理痛や生理前の不調が気になる場合はピルという選択肢を持つ方が良さそうだ。

生理がこないと、骨が折れやすくなる!?

女性アスリートの生理に関して、高尾氏にはとても気がかりなことがあるのだという。それは過度のウエイトコントロールや、エネルギーの摂取不足により、ある程度の年齢に達しても初潮がなかったり、無月経の状態が続いたりすること。その女性の将来を考えると問題は大きいのだそうだ。

「みなさんご存じだと思いますが、第二次性徴を迎える女の子の身体は脂肪質に変化しており、蓄えられた脂肪細胞が作るホルモンが初めての生理を引き起こしてくれます。そのホルモンのひとつ、卵巣で作られるエストロゲンがたくさん分泌されれば排卵が起こって妊娠できるチャンスを迎えるけれども、妊娠が成立しなければ生理が来ます。ただ、このエストロゲンがアスリートに対して一番大きな影響を及ぼすのは骨です。エストロゲンが十分に分泌されていないと、骨密度が保てないため骨が折れやすくなる。中学校や高校でアスリートの指導をしている方には是非知っておいてほしいことです」

たとえば陸上の長距離走や、身体の美しさが勝敗に大きく影響する新体操やフィギュアスケートなどでは体重が軽い方がよりよい成績を残せる傾向がある。すると、初潮がない、生理が来ないことが長期的に見ればよくないとわかっていても、競技のために無視するような状況がつづいているのが悩ましいという。

「陸上の長距離の選手を、ざっくり20歳ぐらいで分けて、それより前の年代で速く走れていた選手は、身体が軽いため速く走れた可能性があります。でも、多くが生理がない状態であり、そのままの状態を続けるといずれ骨が折れてしまうんですね。たとえば推薦で大学に行って社会人のチームに入っても、骨が脆く、折れやすくなってしまっていると、そこから先タイムは出ないでしょう。そういう選手たちに取って代わるのが、それまでにしっかり身体を作っていて、高校や大学では身体が重い方で、あまり良いタイムが出ないなと思っていた選手たち。20歳を超えて、遅咲きといえるのかも知れませんが、良い成績を残せるようになっていくんです」

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高校の陸上の長距離の選手が、高校時代に5回も6回も骨を折ることがあったりしたら、大学でも同じ競技をすることは間違いなく勧めないと高尾氏は語る。

「スポーツってみんな好きで始めますよね? でも、無理をして生理がとまり、骨折を繰り返しているランナーがいたら、私は今も走るの好き? 嫌いになっていない? と聞きたいですね。人間が育っていく過程においては色々な経験をすることが大事で、その中にスポーツも含まれているのは素敵なことですが、それが人生にプラスに作用するものであってほしいという思いが強いです。走るのが大好きという気持ちを、たとえば指導者や周囲の大人のエゴで潰してはいけないと思うんです。自分が指導している選手が高校3年間の間に伸びる選手であるかを見極めて、もしそうではないと思ったら、無理に走らせるのではなく、身体を作ることに注力させるという選択肢もありじゃないでしょうか。この判断によって、運動やスポーツが本当に良い経験として、女性の人生を豊かにしてくれるといいなと思います」

TVなどマスコミに登場するほか、SNSや音声配信プラットフォームでの配信も行っている高尾氏は、悩み多き女性から多大な信頼を集めている。近著『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)は、女性たちの悩みに対し高尾氏の答えを集めた1冊だが、身体に関することばかりと思いきや、人間関係、家族、仕事、夫婦関係など多岐にわたることに驚かされた。婦人科が専門であるのになぜだろう? と思ったら、医師として診断が簡単なのは形の問題。つまり、目やエコーで診て分かる形の異常は診断・治療がしやすいが、身体の器官やホルモンの働きの問題は診断が難しいのだという。この「働き」にはストレスが大きく影響する。そこで患者さんの背景、どんなことがストレスになっているのかを知るために、話をよく聞くようになったのだそうだ。婦人科というと、敷居が高いという人もいるとは思うが、よりよい人生のために気負わず扉を叩いてみることも大事かもしれない。

PROFILE 高尾美穂
医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。愛知県生まれ。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て、2013年から「イーク表参道」副院長を務める。婦人科外来に携わるほか、スポーツ庁国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトのメンバーとして、女性アスリートのサポートも行う。ヨガの指導者資格も持つ。女性の健康で幸せな人生と前向きな選択を後押しすることをライフワークとし、テレビや雑誌などさまざまなメディアで注目され、幅広い年代の女性たちから絶大な支持を集める。SNSでの発信も積極的に行うなか、音声配信プラットフォームstand.fmの『高尾美穂からのリアルボイス』が390万再生を超える人気に。

text by Sadaie Reiko(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock

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