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「子どもを持ちたい多くの方々がチャンス逃す結果に」不妊治療と共に考えたい選択肢、「特別養子縁組」にも年齢のハードルがあることを知っていますか?

ABEMA TIMES

 始まったばかりの子育てについて、「“子どもと孫の中間”みたいな幸せが突然降ってきた感じで、一生懸命頑張っている」と話す石井さん。それは同時に、子どもの将来への不安にもつながる。「定年退職になれば、子どもが大学へ行く場合にお金の問題も出てくると思う」。

 特別養子縁組の法的な枠組みにおいて、養親の年齢に下限はあっても上限はない。ただ、民間のあっせん機関の約7割が、“夫婦ともに50歳以下”などの条件を設けている。その理由について、日本女子大学の林浩康教授は「子育てには体力が必要であること。そして、経済の面だ。また、高校生・大学生のうちに養親さんが要介護状態になる可能性も考えるわけだ」と説明する。

 駒崎氏も「やはりお子さんの幸福を第一に考えれば、養親さんの健康状態が悪化してヤングケアラーになったり、養親さんが子育ての途中で亡くなられてしまったりということが問題になってくる。もちろん様々な要件をトータルして選定させていただいてはいるので、年齢だけで決めるわけではないが、我々も45歳までという目安を設けさせていただいている」。

■「養子縁組制度自体、まだまだ知られていない」

 石井さんの話を受け、カンニング竹山は「特別養子縁組を考えたことがあった」と明かす。「うちも子どもがいない夫婦なので、養子というのもあるかなと思ったが、僕がこういう仕事をしていることもあって、子どもの人生どうなるのだろうかと考えた。これがアメリカだったら周りが受け入れてくれると思うけれど、日本にはまだそういう土壌がないので、俺が親になることによって子どもが不幸になったら…と考えてしまった」。

 石井さんは「彼女が海外でホームステイをしていた経験があること、私もヨーロッパで働いていた経験があったので、いわゆる養子が社会にいることが自然だという感覚はあった。菅前総理が導入した、不妊治療への補助制度に関しては本当に感謝している。我々は間に合わなかったが、たくさんの人にチャンスを与えることになったと思う。ただ同時に、子どもは女性の身体から産まれてくるものなので、“気持ちの切り替え”ということも出てくる。政府が他の選択肢もあるということを広めようとしているのは正しいと思う」と話す。

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 駒崎氏は「“社会的養育下”、つまりなんらかの事情で親御さんと一緒に住めていない子どもは全国に4万5000人いて、そのうちの4万人弱が乳児院や児童養護施設で暮らしている。そして残りの5000〜6000人の子どもたちが“家庭養護”、つまり里親か特別養子縁組になっている状況だ。しかし諸外国ではこの比率が逆になっている。やはり養子縁組制度がまだまだ知られていないこともあり、年間の養子縁組数は700程度と、とても少ない件数にとどまっている。不妊治療をしている方がいつのまにか50歳になってしまったということと併せて、多くの方々がチャンスを逃していることになると思う」と指摘する。

 「背景にあるのは文化差というよりも、政治によって後押しされてきたかどうかの違いだと思う。日本の場合、長年にわたり社会的養護の政策に力が入れられず、特別養子縁組の支援団体に対する補助も2018年にようやく作られたばかりで、諸外国に比べて予算の規模も小さい。結果、アメリカにおける養子縁組数は日本の約100倍だ」。

■幸せな新しい家族の姿、発信を

 その上で駒崎氏は、経験者による発信が大切だと訴える。

 「いま、虐待死した子どもの約半数が0歳児だ。背景には、予期せぬ妊娠の問題、さらに親の貧困や精神疾患がある。また、性教育がタブー視されてきた歴史があって、学校でも予期せぬ妊娠をした場合に養子縁組という手段があるんだよということを教えてくれない。だから知らないまま大人になっていき、:“育てられない”という現実に絶望してトイレなどで出産・遺棄してしまうことが起きてくる。我々も予期せぬ妊娠をした方々の相談に乗っているが、毎日のように悩みが寄せられる。“託す”という方法があることを伝えているが、やはり子どもを迎えた幸せな方々が発信してくださることが大事だ。

 例えば我々のところではマッチングさせていただいた家族たちが集まって子育ての話をする機会があるが、法的にも親子になっているし、血のつながりは関係ないと話している。そもそも夫婦だって血はつながっていない。家族というのは愛情であり、どれだけ関わりがあったかということだ。石井さん夫妻のような素晴らしい方々にマッチングさせていただいて、幸せな新しい家族を生み出していく。そして、そうした方々の声が広がり、“そういう選択肢もあるのだな”と知ってもらいたい」。(『ABEMA Prime』より)

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