
厚生労働省が今月、不妊治療を行う人たちに向け、子どもを迎えるための別の選択肢として、里親や特別養子縁組に関する情報を提示する取り組みを始めた。
【映像】親になるのに年齢の壁? “不妊治療→特別養子縁組”
石井大輔さん(46)と留依さん(48)の夫婦は、4年間にわたり不妊治療を進めていた。それまでにかかった費用は1500万円近くに上るといい、留依さんが46歳になると、養子を迎えることを考え始めた。「100%諦めたというよりも、優先順位を変えて、養子をいただけるような活動もしっかりしようと」(石井さん)。

特別養子縁組の支援も行うNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表は「特別養子縁組というのは、生みの親が何らかの事情で育てることができない子どもを育ての親=養親さんに託し、戸籍上も実の親子になれるという、子どもたちの幸せのために作られた制度だ」と説明する。
特別養子縁組を行い、養親になるためには法律上の規定のほか、団体ごとに条件がある。石井さん夫婦も厚生労働省の認可を受けている22のあっせん団体に連絡を取り、時には九州まで足を運んだ。そして昨年11月、マッチングした新生児を迎え入れることが決まる。現時点では戸籍上“縁故者”という位置づけだが、試験養育期間を経て家庭裁判所に認められれば“実子”となる。

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こうしたプロセスについて、駒崎氏は「一般的には民間の団体や児童相談所がマッチングのアプローチを行うが、民間団体の場合、日本国籍があることや法律婚をしていること、あるいは犯罪歴がないことなどが共通の条件になっている。そしてフローレンスの場合、養親さんたちの夫婦関係、制度をきちんと理解しているか、養育をする環境などを総合的に判断させていただいている。この“総合的”というのが大切だ。なぜなら、養親というのは子どもの一生がかかっている大変責任の重い役割だからだ。たとえば小児性愛の方にマッチングしてしまったとしたら、子どもにとって悲惨なことになってしまう可能性がある」と説明する。
■「定年退職になれば、大学へ行く場合にお金の問題も出てくると思う」

そして、これらの基準の中には、養親になろうとする夫婦の“年齢”も含まれる。