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【50代の転職 賢人インタビュー】ファイナンシャルプランナーが語る② 老後資金の面から考える今後の仕事と転職

キャリア50

私はキャリアコンサルタントではないので具体的なアドバイスはできません。でも、50代で老後資金を考える際、もっとも重要なのは仕事のことなので、必ず話題にして一緒に考えます。

仕事について私は、生涯現役が理想だと考えています。それが無理でも、できる限り長く働くことに意義があると。

私が考える「老後」とは、働かずに国や家族に養ってもらう期間で、蓄えた老後資金を取り崩して生活する期間。

理想は老後を「1割」にすること、つまり、人生の最後の1割の期間だけ公的年金+貯金の取り崩しで生活し、それまでは、65歳以降も公的年金+仕事で得た収入で生活することなんです。

1割というと、寿命が70歳だったときは63歳まで働けばOKでした。でも、現在は人生100年と言われる時代。もう少し控えめに人生90年としても81歳までは働くことを目標にしたいものです。

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もちろん現役世代と同じ働き方、収入は望めないでしょう。しかし、アルバイトやパートで月5万円~10万円の収入があれば、公的年金の受給額にもよりますが、足りない分をカバーできます。

極端に言えば、生涯現役でいられるなら、年金もあることですし、老後のための蓄えがあまりなくても生きられる。ひと昔前は、そういう人はたくさんいましたからね。

―老後資金面からも、やはりみなさん、できる限り長く働きたいと希望されている?

それが、みなさん基本的には早く辞めたいというのが本音のようです。相談に来られる50歳前後は、職場で責任の重い立場にあり、身心ともに疲れているからでしょうか。

定年を現在の65歳からさらに70歳まで延長する動きがあります。これを喜ばしいことと感じている人がいる一方、お金が充分あったら早く辞めて、悠々自適な老後生活を送りたいと思う人もいます。

実際、早期に仕事を辞めて資産運用の収益で生活する「FIRE」(ファイア/「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の頭文字)や、お金を貯めて早期退職する「アーリーリタイア」が、注目を集めているようですね。確かに、誰しも楽して生きられたらって思いはあるでしょう。

でも、そんなに仕事って嫌なもの?したくない? 仕事って本来、やりがいや達成感の元です。人や社会の役にたっていると実感したり、世の中と関わることができたりと、とても楽しいものだと思うんですね。特に、高齢になったり、シングルの方にとっては、孤立せず社会と関わり続けるための手段です。身心の健康を保つためには、働き続けるのが最高の策です。

50代の今、転職や起業も視野に入れてこれからの仕事を考えるいい機会に

 ―定年退職か再雇用か、早期退職して転職するか、さまざまな選択肢がありますが、得なのはどれ?

こういうことは、損得だけで考えてはダメなんです。どれが得かだけで選んでいくと、自分が大切にしたいこと、やりたいことなどから、どんどん離れていってしまうことになりかねません。

お金のことは、いろいろなパターンをシミュレーションして比較検討することはできますが、人の生きがいや喜びは、数字で表したり、比較したりはできません。金額だけにとらわれず、自分の本当の思いに向き合って決めることが大切です。

ちなみに、企業が「早期退職制度」を設けている場合、退職金の割り増しがあるケースも多いようです。「今後もずっと働き続けられるよう、定年がない、高齢者雇用に積極的な会社に転職したい」「自分の得意分野や趣味を活かした新たな仕事を探したい」というような場合は、早期退職を選ぶのもひとつの方法です。起業やフリーランスを目指す人にとっても、開業資金が得られて、よいきっかけになりますね。

定年については、2025年4月より65歳定年制の義務化がスタートします。さらに現在、70歳までの就労機会の確保が努力義務となっています。各企業は①定年を70歳に引き上げ②定年制度の廃止③70歳まで継続雇用制度の導入などの措置を取らなくてはなりません。

上記の③の継続雇用制度では、「勤務延長制度」の場合は給与などの条件は今までと変わりません。対して「再雇用制度」ではいったん退職金を受け取り再雇用になるため、給与は下がるのが一般的です。

―長く働きたい場合、公的年金はいつからもらうのがベストでしょうか?

65歳から受け取るのが基本ですが、支給の繰り下げを利用すれば66~75歳(※1)までの間の希望する時期から受け取ることもできます。この場合、受給額が1カ月に0.7%増額され、例えば67歳0か月は8.4%増、70歳0か月は42%増、75歳0か月は84%増となり、この増えた受給額を一生受け取ることができます。金額で見ると、65歳からの年金額が月15万円のとき、75歳からに変更すると月27.6万円になります。

※1:昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受け取る権利が発生している方)は、繰り下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。

なお、会社員・公務員は「国民年金」に加えて「厚生年金」にも加入していますが、老齢厚生年金の保険料は雇用され続けるなどの条件を満たせば70歳まで支払い可能(基礎年金は20~60歳の40年間で満額となる)。働いて厚生年金保険料を支払い続ければ、その分、もらえる年金額が増えます。

この、65歳以降に働きながら(厚生年金に加入しながら)受け取る老齢厚生年金のことを「在職老齢年金」と呼びます。収入の額により年金額が減額されたり、支給停止になったりするので注意しましょう。65歳から年金を受取る場合、「老齢基礎年金」は全額支給されますが、「老齢厚生年金」は月の収入(※2)が47万円を超えると年金カットまたは全額支給停止に(※3)。

※2:年金月額(加給年金を除く老齢厚生年金の年額を12で割った数)+総報酬月額相当額(1年間の給与に賞与を足して12で割った数)。

※3:支給を繰り下げた場合も、支給停止されるはずの額には増額率が適用されません。例えば、年金を月10万円もらえるところ3万円カットされた場合、繰り下げにより増額は7万円分のみで、残り3万円は増額にならずそのままの金額が受給されます。

50代はまだ五合目。これから先も楽しみながら登り続けよう!

 ―最近は制度もいろいろ変わっていて、年金をいつから受け取るか判断するのも難しいですね

そう。これも、損得で考えて数字にとらわれすぎてしまうと、身動きが取れなくなってしまいます。

要は考え方次第です。年金カットの対象となる月収47万円以上というのは、かなり高収入の仕事。働き続けることで年金額がカットされたとしても、その分、バリバリ働いて収入を増やせばいい。年金カットが嫌なら、65歳で退職して(フリーランスや業務委託などの形で)個人事業主となる手もあります。厚生年金に加入しないので在職老齢年金とはならず、年金額は減額されません。

繰り下げた元を取るには、受け取りはじめてから10年以上生き延びるのが目安。年金受け取りを75歳まで繰り下げると、もらい損になるリスクは確かにあります。それでも、75歳まで仕事の収入や貯金で十分生活できるなら、繰り下げるのは悪くありません。あの世へはどんな財産も持って行けない代わり、お金もかからないのですから。

年金を繰り下げると、長生きすればするほど得にはなります。ただ、寿命は神のみぞ知る。私は、「損得よりも、年金や貯金を管理しやすい方法、うまく使える方法を選びましょう」とアドバイスしています。

―損か得かは、計算した数字ではなく、その人の考え方次第なのですね

そう、お金に合わせた人生設計ではなく、自分の思い描く人生のためにお金をコーディネートすると、考え方を切り替えてみましょう。

そして、最後にアドバイスしたいのが次のこと。

退職後はこんな生活をしたい、こんな夢を叶えたいという人がいますが、「それ、今からできませんか?」ということです。退職後のために今はガマンして。でも、それまで生きている保証、健康である保証なんてありません。

やりたいことがあるなら、老後ではなく「今」、あるいはできるだけ近い将来に叶えるよう考えてみましょう。そのために、仕事やお金、時間をどうするか、作戦を立てる。そうやって今を充実させることが、充実したセカンドライフに繋がるのだと思います。

50代の相談者さんの中には、終活を考えていて、子供のためにいくら残せるか相談したいという方もおられます。終活をしてもいいですが、それよりも大切なのは、これから10年、そのあとの10年をどう生きるか。50代は人生の折り返し、登山で言うなら五合目です。

ここで息切れしていてはダメ。いままでを振り返って、その経験を生かし、ここから先、人生をどう楽しみ、どう充実させるか、考えていきましょう。新しい仕事にチャレンジすることだってもちろんできます。人生の後半、自分がやり続けたいこと、新しくやりたいこと、ぜひ見つけて、挑戦してください。

お金に振り回されず、今を充実して生きることが最強の老後の備えに!

 老後の備えとこれからの仕事を考えるうえで、大切なこと。それは、世の中の平均値やシミュレーションの数字に惑わされることなく、自分がなにを重視して生きていくか明確にすることだと気付かされることでしょう。

年金の話題がでると、どうしても「仕事をいつ辞めて年金をいつからもらうのが得か」ということを考えがちですが、損得にとらわれずに自分のやりたいこと、大切にしたいことを重視すれば、答えを出すのもとてもシンプル&明確になるのではないでしょうか。

ファイナンシャルプランナーが語る①はコチラ

 

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