ボッチャの日本代表「火ノ玉JAPAN」と一般のチームが対決できる唯一の大会「ボッチャ東京カップ」。4月9日と10日に行われた大会は、東京2020パラリンピックのレガシーにするため、例年より規模を拡大して開催された。芸能人やオリンピックの金メダリストらも含めた27チームが集結。選手たちの奮闘ぶりに、東京体育館に足を運んだ観客が沸いた。

著名人もボッチャに夢中!
真壁刀義らレスラー軍団による「新日本プロレス」、ハンドボール男子で東京オリンピックの日本代表主将を務めた土井レミイ杏利の「ジークスター東京」らとともに、会場を盛り上げたのが田村淳(ロンドンブーツ1号2号)のオンラインコミュニティ「大人の小学校」。

テクノロジーでプレーできる「サイバーボッチャ」を購入していて、すでにボッチャを経験済みの田村は、本格的な投球フォームを見せるも、ペナルティなどで活躍できず。悔しさをのぞかせながら、「チームメートに支えてもらった」と振り返り、ボッチャの楽しさを実感した様子だ。
「僕は運動神経がある方ではないけど、ボッチャならできる感覚がある。これからも続けたいスポーツです」
と笑顔で語り、次回以降の“リベンジ”を誓った。
タイと日本代表の豪華対戦が実現
今大会はボッチャの強豪として知られるタイ代表チームも参戦。海外チームとして初の参加チームとなった。
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タイといえば、東京パラリンピックのボッチャBC1-2チーム戦で日本代表の決勝進出を阻止し、金メダルに輝いた最強チームであり、BC2個人戦で金メダルを獲得した杉村英孝とワッチャラポン・ウォンサが頂点争いをした、いわば盟友だ。

「兄弟みたいな間柄」という両者だが、9日に行われたエキシビジョンマッチ(4エンド制)は緊張感が漂った。見どころは、クリエイティブなボッチャをするタイに、投球精度の高い日本代表が太刀打ちできるか。これまで白いジャックボールをショートレンジに置いて戦うスタイルだったタイは、ロングで日本代表の意表をついた。日本代表は選手層が厚い。1月にBC1クラスで初めて日本一になり、このエキシビジョンでチーム戦デビューした仁田原裕貴のパワフルな投球で流れをつかみ、3対2で勝利した。
昨夏の東京パラリンピックは無観客だったため、応援したくても来場できなかったボッチャファンが今大会に多数訪れた。観客が見守る中、世界トップレベルの投球技術を披露した両チーム。日本代表も杉村が白いジャックボール球にぴったり寄せる、ビッタビタのショットで観客を沸かせていた。

試合後のインタビューで「最強のチームと東京で再戦できてうれしい」と笑顔を見せた日本代表キャプテンの杉村。東京大会以降、ルール改正でチーム戦の構成が変わったため、「もうできなくなった(男子3選手との)対戦が実現でき、エキシビジョンとはいえ勝ち切れてよかった」と感慨深げに振り返った。
今大会はインクルーシブな社会の実現を目的としているが、日本国内では今大会の実施に見られるように、障がいの有無や年齢、性別にかかわらず、誰もが参加できるユニバーサルスポーツとして裾野を広げている。健常者のボッチャのプレーヤーが増えれば、選手たちの練習相手も増え、好循環が生まれるように思うが、強豪国のタイではどうなのだろうか。

タイ代表のキャプテンで、国内で知名度も高いというウォンサは明かす。