東出昌大 | 人を見るプロから与えられた孤独な不良という大役

東出昌大 | 人を見るプロから与えられた孤独な不良という大役
映画『クローズ』シリーズの最新作、『クローズEXPLODE』の主役・鏑木旋風雄(かぶらぎ・かぜお)に抜擢された東出昌大さん。実は、高校生のときよりモデルを務め、パリコレにも出演する“見せるプロ”でした。その後、2012年に好評を得た映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビューを果たし、演じることにキャリアを移しました。そして、今作では初めての映画の主役かつ、圧倒的な強さをもちながらも群れることを嫌う孤独な不良役。役を得るまでの舞台裏を話してくれました。そこには、役に決まった意外な理由も。
東出昌大
いままでの映画とは違うんだと思った

――朝ドラ『ごちそうさん』のヒロインの夫、西門悠太郎につづき、今回は映画『クローズEXPLODE』の主役・鏑木旋風雄(かぶらぎ・かぜお)と、立て続けに大きな役を射止めてますよね。

東出昌大 (C)2014髙橋ヒロシ/「クローズEXPLODE」製作委員会
(C)2014髙橋ヒロシ/「クローズEXPLODE」製作委員会

東出昌大 (以下、東出) ありがとうございます。自分自身驚いていますし、うれしいです。

――主役に抜擢されたときの感想は?

東出豊田利晃監督の作品がもともと好きで、「こういう大人ってカッコいい!」と思う作品をつくってらっしゃるので、選んでいただいたときは、本当にうれしかったですね。

※豊田利晃(とよだ・としあき):日本の映画監督。1991年、阪本順治監督の『王手』で脚本家デビューし、98年に『ポルノスター』(主演:千原ジュニア)を初監督する。代表作は『青い春』(主演:松田龍平)、『空中庭園』(主演:小泉今日子)、『モンスターズクラブ』(主演:瑛太)などがある。

――筋金入りの不良たちがとんでもない熱量でぶつかりあう『クローズ』をあの豊田監督が撮るって聞くだけでワクワクします。『クローズ』は原作の漫画がシリーズ累計発行部数7500万部以上の大人気作。オリジナルストーリーで映画化された『クローズZERO』『クローズZEROII』もメガヒットしました。

『クローズ完全版 1』高橋 ヒロシ
『クローズ完全版 1』高橋 ヒロシ

東出監督がアクションエンタテインメントを撮る時点で、そのまま王道でやらないだろうと思いました。

――それぞれの立場の不良たちの、ケンカに明け暮れる毎日を通して、暴力の裏にある内面、優しさとか悲しさ、危うさを感じました。

東出見ていて胸が熱くなる人物描写ですよね。役に決まったとき、監督に「やる?」と聞かれたときに、豊田監督が撮るいままでとは違う『クローズ』の主役に挑戦したいと思い、意志を固めました。

東出昌大

――物語を引っぱっていく初めての主役に対して、自信をもって挑めたんですか?

東出いや、全然(笑)。ただ、これまで自分も影響を受けている、大好きな監督に認められているんだから、自分はある程度素養があるんじゃないかな……なんて思うようにしようとしていました(笑)。

――自分が信頼している人が選んでくれたんだから、その選択を信じようと。

東出はい。

豊田監督の前では、どんな嘘もつけない

――選ばれた理由は監督に直接聞きましたか?

東出撮影中は役になりきることに集中していたので、すべての撮影が終わった後に聞きましたよ。で、ちょっとびっくりしたんですけど……。

――どんな理由だったんでしょうか? 東出さんの実際の演技を見て決めたんですよね。

東出六人一組で四つの役を交互に演じていく形式でした。オーディションの前は、僕は演技のことで頭がいっぱいいっぱいになって、廊下でじっと座っていて。で、後から監督が会場に入ってくるときに、そこにいた役者全員の顔をすーっと見たんです。そこで「何だこいつ」って思って、決めたって言っていました。

――というと、それって……。

東出オーディションじゃないじゃんって(笑)。会場前で何気なく座っている僕の顔を見て、おもしろそうなやつがいると気になっていたみたいです。豊田監督は直感で決めたんですね。

――そんなことがあるんですね。東出さんはそんなことは何も知らずに、いざ演技を見せるわけですが……。

東出もちろん全力で見せるわけです(笑)。

――手ごたえはありましたか?

東出オーディション自体は、みんなセリフがぐちゃぐちゃになって、確かに難しかった。……受かったかどうかは正直わからなかったです。

東出昌大

――オーディションの最中は見られているって意識して、自分をつくって演技をしますよね。

東出そうなんですが、豊田監督の前では、もちろんどんな嘘もつけない。自分が発言したことに対して「どうしてあんなくだらないこと言ったんだろう……」って家に帰って思い悩みました。

――オーディションを受けている最中に、演技の正解は何かなんてわからないですよね……。

東出はい。また、演技を見ていただいているときに、監督ってニヤッとニヒルな笑いをするんですよ(笑)。

――それは演技がよかったのか悪かったのか反応が読めなくて緊張しそうです。

東出ええ、かなり。

――豊田監督は、演技する前の、会場の前で座っているその瞬間の雰囲気とか素の部分を見て、そこに主役として、自由気ままで孤独な不良が抱える心情を表現できると考えたんですね。

東出僕自身そのときは見られているって意識はなくて。そのままの自分が出ていたと思います。今回の役は、ただ孤独というだけでなく、いまの自分について悩む複雑な心情を抱えている人間なんです。不良の役もケンカの演技も初めてです。とても貴重な体験をさせていただきました。
 監督は人を見るプロですから、素を見ていただいてこんな大きな役をいただけたんだとしたら、こんなにうれしいことってないです。

執筆:力石恒元 撮影:喜多村みか

更新日:2016年1月10日

Series シリーズ

Pick up ピックアップ

人気キーワード

Category カテゴリー

ページトップへ 
「エンタメウィーク」は一週間をもっと楽しくするエンタメサイト 誰でも今流行りのエンタメ情報を楽しめる記事をご提供します
dmenu
HOME