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イライラしたら動け!? 悩みや不安は、週3回の運動習慣で解決する

パラサポWEB

社会の中で生活をしていると、人間関係や仕事のことでストレスを感じることもしばしば。さらにここ2年ほどはコロナ禍で、よりストレスを強く感じている人も多い。そんなときは気分転換のために、「運動をするといいよ」とよく薦められる。
しかし、なぜ運動するとストレスにいいのだろうか? 理路整然とその効果を回答できる人は少ないだろう。そんな疑問を、様々な知見から解決してくれる一冊がある。それが、書籍『スタンフォード式 人生を変える運動の科学』(大和書房)だ。
運動することで人生が変わったという人たちへのインタビューや、心理学や人類学などを交えて、運動することによって脳や身体にどのようなことが起こっているのかを興味深く綴っている。あのスポーツコメンテーターの為末大氏も絶賛した一冊の中から、特に今回はメンタルへの効用を抜粋して紹介する。身体を動かすことがいかに心に影響し、人生を、生活を素晴らしいものにするかについて迫る。

20分のややきつい運動で、クセになる “高揚感”が得られる

ジョギングを日常的にしている人はもちろん、していない人でも「ランナーズハイ」という言葉を一度は聞いたことがあるだろう。走っていると突然訪れる陶酔した状態で、心地よく、いつまでも走っていられるような気持ちになるという。なぜこのような状態になるのか、『スタンフォード式 人生を変える運動の科学』の中に明快な答えがあった。

私たちの祖先は約200万年前、狩猟採集活動をして生きていた。その名残というべき、獲物を追いかけている程度の運動をしたときに、「エンドルフィン」の他に、「内因性カンナビノイド」という脳内化学物質が生み出される。この物質には気分を高める作用があり、様々な実験の結果、持久力を発揮したときに、「内因性カンナビノイド」が上昇することが分かっている。

継続した動きによって心拍数が上昇する運動なら、どんな運動であれ、がんばったごほうびをもらえる。運動がもたらす高揚感を味わうには、なにをすべきかという客観的な達成基準もなければ、必要な速度や距離も決まっていない。ただし、自分にとってややきつい運動を20分は続ける必要がある。ランナーズハイは走ることではなく、持久力を発揮することで得られるからだ。(書籍から抜粋)

ジョギングやサイクリングなど、どんな運動でもちょっと負荷をかけて、苦しくてきついという状態を持続すれば、誰でも「ランナーズハイ」を体験できる可能性がある。どんな状態になるのか興味がある人は、ぜひ一度挑戦してみてはどうだろうか? もちろん、自分のできる無理のない範囲で。

悩みや不安は、週3回の運動習慣で解決する!?

人間は大小あれど多くの悩みを抱えているもの。悩めば悩むほど不安が押し寄せ、どんどん気分が落ち込んでいってしまう。そんなときに適度な運動をして汗をかくと、悩みをふと忘れてしまい、何をあんなに悩んでいたのだろうと馬鹿らしくなることがある。多くの人がそんな体験をしたことがあることだろう。運動には気分を高めたり、不安の緩和などの効果があることが明らかになっている。そして、より効果が出てくるのは、週3回×6週間からだという。運動を始めるのは簡単だが、続けるのはなかなか難しい。しかし、そこをちょっと頑張って継続してみることで気持ちにも変化が訪れるのだ。そして、運動するとできる乳酸だが、今までの定説を覆す効果があることが分かってきた。

3回の運動を6週間続けると、不安を軽減する脳の領域の神経結合が増える。また、定期的な運動によって神経系のデフォルト状態が調整されると、バランスがよくなり、闘争・逃走反応や恐怖反応が起こりにくくなることがわかっている。さらに、運動の代謝副産物である乳酸は、一般的に、筋肉痛を引き起こすと誤解されているが、最新の研究は乳酸のメンタルヘルスに対する効果を示唆している。筋肉から分泌された乳酸は、体内の血管をめぐって脳にたどり着き、神経系統に作用して不安を緩和したり、うつ病を予防したりする効果があるのだ。(書籍から抜粋)

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悪者にされていた乳酸が、まさか身体の健全さを保つ役割を果たしていたとは!

「なりたい自分」は「動きの質」を変えると実現する

私たちは手を上げればどのあたりの位置にあるのか、足を浮かせればどのくらい上げているのか、特に意識をしていなくても分かる。なぜ認識できるかというと、人間に自分の体の動きを理解させる「固有受容」という能力が備わっているからだ。この「固有受容」は、自己概念を作り上げる上でも重要で、動きのひとつひとつが”自分らしさ”というものを作り上げていく。自身を磨いていくには、ただ動かすのでなく、動きの質を高めるのが必要だ。手や足の先まで意識を巡らせ、より力強く、より美しく動かす。それを日々繰り返すことによって自分が変わっていき、まわりの見る目も変わってくる。

自分自身のイメージを形成するうえで、固有受容の重要性は、「これは自分の腕だ」という認識よりもはるかに高い。スポーツ、ダンス、ランニング、ウェイトリフティングなど、どんな運動をおこなうときも、瞬間ごとの自己認識は、動作の性質によって形成される。たとえば、優雅な動きをするときは、脳が手足ののびやかさや、なめらかな足取りを感知し、「私は優雅だ」と認識する。迫力のある動きをするときは、脳が筋肉の強い収縮をエンコードし、動作のスピードを感知することで、「私はパワフルだ」と認識する。力を込めた動作をするときは、脳が筋肉の抵抗と腱の張りを感知し、「私は強い」と認識する。こうした感覚が、自分はどんな人間で、どんな能力をもっているかについて、説得力のあるデータを提供する。(書籍から抜粋)

要は動きを意識することで自信が生まれる。そうすれば、今まで挑戦してみようと思わなかったことも、いとも簡単に乗り越えることができる。人としての幅が広がり、人生をより豊かなものにするのだ。

他者との強いつながりや信頼関係を築くなら、グループでの運動が最適

学生時代に部活動をやっていた人や、グループでスポーツをやっている人は、仲間と共に体を動かし、同じ目標へ向かっていく喜びを感じたことがある人も多いことだろう。みんなと同じ動きをすることによって得られる高揚感は、「集合的沸騰」と表現される。それによって起こる脳の神経作用は、他人と強い結びつきを生み出し、信頼感も芽生えさせるという。

ある人物は集団的な喜びを言葉で表現したとき、自己と他者がひとつになる感覚を強調して「自分という境界線が消えてしまう」と述べた。また、ある人物は仲間たちとオタワ川でボートを漕ぐときの高揚感を同じような言葉で表現し、「個の感覚があいまいになって、ひとつの生き物のようになる」と述べた。この境界線が消えてしまうという感覚は、集団的な喜びの大きな特徴のひとつだ。つながりという概念ではなく、つながっているという感覚を体感する。いわば脳が錯覚を起こして、自分の体を大きなものの一部として認識すると同時に、全体も感じ取れるような状態だ。(書籍から抜粋)

一人で黙々とストイックに運動するのもありだが、グループで行うとまた違ったメンタルの恩恵を受けることができる。「同じ釜の飯を食う」という諺のとおり、チームメイトと一緒に切磋琢磨することで、他者との関係を深め、集団的な喜びを得られるだろう。

自信と勇気が湧いてくる「希望の分子」ホルモンは、筋肉から生まれる

メンタルヘルスの健全さを保つ、心強い物質が存在する。慢性的なストレスを作り出す神経毒性物質の代謝を促し、無害な物質へと変化させる働きがある「マイオカイン」だ。運動などで筋肉を収縮させると骨格筋から分泌される「マイオカイン」は、なんでも数十種類も発見されている。疾病の予防など様々な効果があり、とりわけ脳の活性化に強く作用するものも多いそうだ。

運動誘発性のマイオカインをいち早く取り上げたある科学論文は、それを「希望の分子」と呼んだ。持久系アスリートたちは、「とにかく一歩ずつ足を前に出す」という言葉をよく口にする。これ以上走るのは無理かもしれないと感じても、一歩ずつと思えば前進できるのだと実感することで、自信と勇気が湧いてくるからだ。ところが「希望の分子」の存在によって、それがたんなる思い込みではないことが明らかになった。筋肉から、希望が生まれるのだ。一歩進むたびに、体内ではマイオカインを分泌する筋肉が200か所以上も収縮する。体を前進させる筋肉は脳にタンパク質を送り、レジリエンスをもたらす脳内化学物質を活性化させる。
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