
「教えて!goo」に「確定申告ってやらないとどうなるの?」という質問が寄せられているが、このような投稿はこの時期に多く見られる。そこで今回は無申告の方などを対象に税務調査を行う国税の元税務調査官だった松嶋洋税理士に、どのようなルートで無申告を探すのか聞いてきた。
■確定申告をしない・無申告はバレるのか
まずは無申告である多くの方が気になるであろう、「そもそも無申告はバレるのか?」について聞いてみた。
「近年、国税は無申告調査に力を入れており、必ずばれると思った方がいいです。その他、無申告について一定の場合には経費の立証責任を納税者が行うなど、法的にも厳しい対応がなされるようになっています」(元国税調査官・松嶋洋税理士)
国税のリソースは限られていることを考慮しても、一度でもターゲットにされれば、必ずバレるようだ。
■無申告かどうかを調べる3つのルート
無申告は必ずバレるという。ではどうやって無申告かどうかを調べるのだろうか。
(1)支払調書との不適合
「税理士報酬や弁護士報酬などが代表的ですが、日本で所定の所得の支払いをした場合、その支払いをした企業に対しては、毎年1月にその支払いに関する調書を作成し、税務署に提出することになっています。この支払調書は幅広いものに適用されており、FXの差金決済などを行った場合にも、これらの業者から提出されることになっています。このため、これらの所得を得ていれば、あらかじめ税務署はそれを把握していますので、申告がなければすぐにばれることになります」(元国税調査官・松嶋洋税理士)
(2)元締め等からの情報収集
「暗号資産の申告漏れなどが分かりやすい事例ですが、暗号資産取引を行う場合、必ず取引所を経由しますので、国税としてはその取引所の情報を入手できれば、だれがいつどの程度利益を得ているか容易に把握することができます。このように、無申告が想定される方の情報を大量にかつ正確に保有している業者を押さえることで、一気呵成に無申告者を把握することができます。このような業者に対する調査や、情報提供をもとに、無申告を把握しています」(元国税調査官・松嶋洋税理士)
(3)地道な情報収集
「その他、国税は銀行を洗うなどして、怪しい入出金がある者をピックアップします。このような取引がある者で、申告事績がなければ無申告が疑われます」(元国税調査官・松嶋洋税理士)
無申告に対する並々ならぬ執念が感じられる。確かにこれでは確実にバレるだろう。
■過去にあった高額な無申告
最後に過去にあった高額な無申告について聞いてみた。
「有名な事例としては、著名な脳科学者が4億円の申告漏れがあったと報道された事例があります。暗号資産など、近年はますます巨額な申告もれが発生する可能性がありますので、今まで以上に注意が必要です」(元国税調査官・松嶋洋税理士)
確定申告の期間後でも申告は可能なので、思い当たる人は今一度思い直すことをおすすめしたい。
●専門家プロフィール:元国税調査官・税理士 松嶋洋 Twitter Facebook
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。
記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
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