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走って文字アートを描く「GPSラン」って?

パラサポWEB

スポーツには必ずといっていいほど勝ち負けが付きまとうが、そうした当たり前を覆し話題となっているのがGPSラン。日本国内だけでなく、台湾など世界中からも注目を浴びる“人と競わないスポーツ”であり、“アート”でもあるというGPSランとは何なのか? その魅力はどこにあるのかを、プロのGPSランナー志水直樹さんに伺った。

勝ち負けを競わないスポーツとは?

GPSランとは、スマホなどにGPSトラッキング機能(移動した軌跡が記録される機能)のあるアプリをダウンロードし、走った軌跡を地図上に残して文字や絵を描いていくランニング。つまりスマホがあれば、誰でも簡単に始めることができる。
たとえば、2021年の10月に兵庫県西宮市で行われた「第46回にしのみや市民祭り」。例年は多くの市民が集まるところ、この年はコロナ禍を考慮して3密を避けるため、市民の皆さんをはじめとする全国の皆さんにランニングアプリを使って描いたアート作品を事前に投稿してもらい、コンテストを行った。描く文字や絵は自由。描くのにかかる時間や、距離も決まっていないので、小さい子どもも、足腰が弱って走ることができないという高齢者も、車いすの人もみんな楽しんで参加することができたと好評だった。

世界初のプロGPSランナー志水直樹さん。

このイベントを企画したのが、西宮市出身の志水直樹さん。彼は2016年から、世界初の職業GPSランナーとして活動している。

「スポーツと言うと今までは、早い人が勝ちで遅い人は負けのようにスピードや距離、得点など数字を競うのが基本でした。僕はサッカーを20数年やっているので、そういう勝ち負けを競うスポーツも好きなのですが、考えてみたら勝ち負けを競わないスポーツってなかったなぁと思ったんです。その点、文字や絵を描くことが目的のGPSランならば速さや距離を競うことがないので、運動が苦手な人も、車いすの方も、体を動かしたいと思っているおじいちゃんやおばあちゃんも、いろんな人が一緒になって楽しむことができるんです」(志水さん)

と、志水さんはGPSランの魅力を語ってくれた。

小学校の教師を辞めてプロのGPSランナーに!

京都の町を走る志水さん。GPSランはスマホさえあれば、どこでもできる。

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志水さんがGPSランを始めようと思ったのは、毎年1月に西宮神社で行われる「福男」選びに参加するための抽選の列に並んでいた時のこと。ゴールまでの最短距離を分析するために境内周辺の地図をスマホで見ていたら、道が「西」という漢字に見えた。そこで翌月のバレンタインデーの日にGPS機能を利用して「西宮LOVE」という文字を描きSNSにアップしたところ、想像以上の反響があったそうだ。

「SNSに『凄い、どうやって描いてるの』とコメントをくれる人や、会った時に『見たよ、走ってあんなことができるの?』と声をかけてくれる人がいたりして、多くの人が面白いと興味を持ってくれました」(志水さん)

こうした意見を聞くうちに、当時小学校の教師をしていた志水さんは、かつて受け持った特別支援学級の子どもたちのことを思いだした。GPSランならば車いすの子どもたちも一緒にスポーツを楽しむことができるのではないかと。さらに自身がサッカーのトレーニングのために行っていたランニングも楽しくなるかもしれないと、次々にアイデアが頭に浮かんだという。こうしたあらゆる可能性を考えているうちに、気付いたら教師を辞めてGPSランを仕事にすることになっていた。

「当初は、『安定した教師という仕事を辞めるなんてもったいない』などと言われましたが、人生1回きりなので、分かりきったことよりは、いろんな人に喜んでもらえる可能性があるものに懸けたほうが僕らしいなと思ったので、後悔はしていません」(志水さん)

と、志水さんは何でもないことのように語る。こうして、世界初のプロのGPSランナーが誕生したのだった。

ゴミ拾いだってアートを作るエンタメになる

2019年に浅草で行われた「GPSプロギング」の様子。ゴミ拾いなのに、みんな笑顔。

GPSランには決まったルールはない。みんなで同じ時刻に走ってもいいし、先に紹介した「にしのみや市民祭り」のように各自バラバラの日時に走って、後で出来上がった作品を披露しあってもいい。さらに言えば、必ずしも走る必要もない。実際志水さんが行っている活動には、ゴミ拾いをした軌跡が環境保全に関する絵やメッセージになる「GPSプロギング」や、子どもや高齢者、車いすの人など誰でも参加できる「GPSウォーク」など、さまざまなバリエーションがある。

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