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オリンピアン佐々木明 × パラアルペンスキー 語り尽くせない「雪上のF1」の魅力

パラサポWEB

最高時速100㎞を超えるスピード感が醍醐味のアルペンスキーは、パラリンピックでも花形競技! アルペンスキーのオリンピック日本代表としてソルトレークシティ大会からソチ大会まで4大会連続出場し、トップレーサーとして世界の最前線で活躍してきた佐々木明さんが語る競技の魅力や現役生活の裏話とは? 北京2022冬季パラリンピックのメダル候補でチェアスキーヤー森井大輝選手と村岡桃佳選手にも質問をぶつけてもらった!

パラアルペンスキーはエクストリームスポーツだ!

現役時代からパラアルペンスキーの選手たちと交流があったという佐々木さん。拠点としていたオーストリアやニュージーランド、長野の菅平高原などで知り合い、「同じフィールド」で活動してきた。パラアルペンスキーをどう見ているのだろうか。

「パラアルペンスキーヤーは本当にストイックだよね。僕は、サーフィンもやっていて膝立ちして行うニーボードに乗ったりするんだけど、立って波乗りするよりも波のフェイスが近いから、スピードに乗っている感覚があります。それを考えると……雪面に近い高さで滑り、かつ攻めていく。チェアスキーヤーって本当に、勇気があってクレイジー! 平昌大会のコースなんてバーンがすごく荒れていたし、そこを滑り降りるというだけで怖いのに、あのスピードで降りてくるなんてただ者じゃない。エクストリームスポーツと言ってもいいかもしれない。とくに高速系種目。正直なところ、僕はやりたくないですね(笑)」

チェアスキーを体験したこともあるからこそ、難しさを知っている。

「チェアスキーに乗ってみたこともあるけど、思わずアウトリガーだけで操作しようとしてしまうし、すごく難しかったです。身体を回旋させたり、しゃがんだり、股関節を動かしたりといった動作が難しい選手たちは、そのぶんフィジカルが強い。そしてマテリアルの調整も細やかですよね。よく心技体って言うけど、チェアスキーヤーが鍛えているのは、心・技・体・マシン。道具を進化させていくことで、健常者のパフォーマンスを超える可能性を秘めている。それがパラスポーツの面白いところだと思います。オリンピックの後は、彼らの超人的な能力を目撃できるパラリンピックに注目ですよ!」

森井選手から佐々木明さんに質問!

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チェアスキーの開発にも力を注ぐ日本のリーダー。前回の平昌大会では銀メダルを手にしたが、金メダルはまだ手にしていない。北京大会で悲願の金メダルを目指す森井が「オリンピックは特別な舞台だった」と振り返る佐々木さんに尋ねたこととは――。

現役時代はどんな息抜きをしていましたか?

スキーをしにいくことです。オリンピック、ワールドカップ、世界選手権のレースだけで合わせて164戦スタートに立っているんですが、ダメだったレースの後はいつも遊びのスキーをするようにしていましたね。私生活では2011年に離婚。今思うとそれが最も心に衝撃を受けていたように思うけど、そのときもスキーを滑ったら心が晴れやかになったっけなあ。

狙っているレースに向けて、気持ちや体のピークをどのようにして合わせていましたか?

シーズンの一戦目に向けて、“攻めるスイッチ”をどう入れるかにフォーカスしていました。開幕戦がうまくいかないと、その後のレースで攻められなくなるからです。そのために、練習をデータにとって自分にとって一番いいターン数を積み上げ、シーズンを迎えるようにしていましたね。
技術はもちろんですが、気持ちのつくり方が何より大事だと思うんです。調子が落ちると、「攻める」ではなく「コースに合わせる」になってしまいがちですから。チーム全体で気持ちよくレースに臨める環境づくりを意識していました。
それから、転戦するなかで最も調子に乗ることのできるレースがあると思うんです。僕の場合は、6万5千人の観客が入るオーストリアのシュラドミングの大会でした。1月にあるそのレースに向けて道具を作っていくと、シーズン初頭には道具が仕上がります。それをここぞというレースに取っておく。狙ったレースで結果を出せれば、そのまま波に乗れますからね。
体づくりも工夫が必要です。夏場にしっかりと鍛えるものの、シーズンに入ると、雪上にいる時間が長いからどうしてもフィジカルを「維持する」ことで精一杯になってしまいます。ですから、たとえばオリンピックシーズンであれば、オリンピックという重要な位置づけの大会の直前に、スキーよりもフィジカル重視の期間を2週間設けて夏場のように鍛えていましたね。

好きなクルマを教えてください!

今はJeepに乗っています。それ以外では、マスタングGTです。アメリカンマッスルカーのじゃじゃ馬感が好きです!

村岡選手から佐々木明さんに質問!

北京パラリンピックでは日本代表選手団主将の大役も務める。前回は金メダルを含む5つのメダルを獲得し、一躍パラスポーツ界のヒロインになったが、この1年は陸上競技とアルペンスキーを両立させ、夏冬二刀流のアスリートとしてさらなる注目を集めている。そんな村岡が気になることとは――。

アルペンスキー選手を引退して以降も、さまざまなフィールドでスキーを続けている明さん。現役生活を終えた後だからこそ、得られた気づきはありますか?

日本においては、オリンピックやパラリンピックという大きな舞台に出場しないと、過去の人になってしまうんです。だから、アスリートであるうちに、スポンサーやメディアを含めた“応援をしてくれる人”を大切にしたい。それが引退後の基盤になるはずです。僕はラストレースで自己ベストを残した上で、より高みを目指すために現役生活を退いた。回転種目のレースを70ターンを55秒で滑るフィジカルはもうないかもしれないけど、山でジャンプしたり、ランディングしたりしている今の方がスキーの技術は上がっていると思います。

現役時代、「もっとこれをやっておけば良かった!」と思うことはありますか?

ないです! 時間、お金、精神、フィジカル……100パーセント注ぎ込んだ。だからこそ、スキーヤーとして次のステップに進めたのかなと思っています。

■スキーヤー 佐々木 明(ささき・あきら)

1981年、北海道北斗市生まれ。3歳でスキーを始め、16歳でアルペンスキーの日本代表に選出される。世界の最前線で活躍し、オリンピックに日本代表としてソルトレークシティ大会からソチ大会まで4大会連続出場。ワールドカップでは2006年男子回転2位など日本選手最高の成績を残している。32歳でアルペンスキーから退き、現在は山岳スキーヤーとしてさらなる高みを目指して挑戦を続けている。
「世界30ヵ国くらいでスキーをしてきましたが、アメリカ・コロラド州のベイル、ブレッケンリッジ、カリフォルニア州のマンモスマウンテンなんかはスロープやトイレが当然のように整っています。もちろん、スキーを楽しんでいる車いすユーザーもたくさん見てきました。日本にもみんなが利用しやすいゲレンデがもっと増えるいいですよね」

大輝くん、桃佳ちゃん、がんばって。そしてアルペンスキーチームの皆さん、応援しています。

text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda,X-1,Hiroshi Suganuma,Haruo Wanibe

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