
伝え手としての悔しい気持ち 防災を学ぶきっかけに
アナウンサーとして防災について今一度学ぼうと思ったのは、2016年4月に起きた熊本地震がきっかけです。
2016年4月、14日午後9時26分と16日午前1時25分、28時間以内に2回の震度7の地震があり、多くの方が犠牲になりました。私はこの16日未明の2回目の地震発生時、報道番組のオンエアを終えて社内にいて、急遽よびかけのためスタジオに入り朝まで放送を担当しました。まさか、同じところでまた大きな地震があるなんて、熊本はどうなってしまったんだろう、信じられない気持ちと不安でいっぱいでした。
そして悲しいことに、14日夜の地震の時にはほとんど被害がなかったものの、16日未明の2回目の地震で多くの方が被害に遭ったことがわかりました。初回の14日夜の地震発生後に、「この後も、同じ程度の大きな地震があるかもしれない」という呼びかけは特にしていませんでした。2回目の地震が起きる直前の番組でも、ライフラインの復旧の課題などに触れていて、「熊本地震は終わり、これからライフラインなどの再建をどうするか」というような感覚でお伝えしていました。振り返ると、「何か言えることがあったのではないか」「少しでも揺れる可能性があったなら呼びかけられなかったのか」というやりきれない気持ちになりました。
この熊本地震を通して感じた、伝え手としての悔しい気持ちから、地震やその他の日本で起こる災害についてもっと知って、ちゃんと伝えたいと思うようになりました。

このことがきっかけで、防災士の資格取得のため勉強をしました。もしかしたら、私もだれかの命を救うことができるのではないか。命を救うというとおこがましいですけれども、でもそういうことができるのかもしれないと初めて気づきました。
知識があれば救える命がある 「防災」はライフワークといえるテーマ
防災士の資格をとるまでの過程も楽しかったです。仕事をしながらの勉強が大変というよりは、防災について、さまざまなことを知ることができてよかったという気持ちが強いです。また防災士の資格をとってからは、「もっと知りたい」という思い、「自分で学びにいこう」と考えるようになりました。私が防災士の資格取得の勉強をしていた当時、研修会場で、郵便局勤務の方々に出会いました。防災士の資格を持っている人が、地域や会社で、何かあった時に周囲の人をリードしてあげることができたら素敵だなと思います。

アナウンサーとして情報を伝える立場としては、多くの専門家の方々の言葉をかみ砕いてわかりやすく伝えていきたいです。地球の中で何が起きているのか。プロの方の話を私が仲介者になって発信していこうと思っています。テレビで放送する内容ももちろんですが、インスタグラムでも、(あまり使い方に慣れていないのですが笑)防災についての情報を発信する場にしています。
今は名刺にも(防災士)を付けています。もともと報道志望でアナウンサーを目指しましたが、こうしたテーマに出会えるとは思ってもみませんでした。私にとってライフワークというテーマに出会いました。知識があれば、救える命がある、そう信じています。
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2月15日公開:③「あの時に準備しておけばよかった」後悔しないために必要な声を届けたい
<プロフィル>
杉野真実(すぎの まみ)
2012年に日本テレビにアナウンサーとして入社。聖心女子大学文学部卒業(歴史社会学科国際交流専攻)。1990年生まれ。東京都出身。趣味・特技は書道(師範)、英語、フランス語と旅行。
現在の出演番組は「Going!Sports&News」「news every.サタデー」「バゲット」「情報ライブ ミヤネ屋」(ニュースコーナー)「スッキリ」(ニュースコーナー)ほか。