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「執行猶予」中の生活とはどのようなものなのか

日刊ホントの話

「執行猶予」は、19世紀の末頃から「短期自由刑の弊害」(刑期が短いと改善の効果や威嚇力が期待できない)を回避するために、西ヨーロッパ諸国で行われるようになった制度です。

日本では1905年(明治38)年に採用され、適用範囲を拡大しながら、現在に至っているといわれています。

●「執行猶予」という制度

 では、より具体的に「執行猶予」とは、どのような制度なのでしょうか。「執行猶予」とは、「有罪の判決を受けた者について、情状(犯人の性格・年齢・境遇など)によって刑の執行を一定期間猶予し、問題なくその期間を経過すればその刑を執行しないことにする制度」です。

 現行刑法では、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金について認められ、猶予期間は1年以上5年以下で決定されます。そして、刑の言渡しと同時に判決で言い渡されます。

 また、「問題なくその期間を経過すればその刑を執行しない」とされているように、無事に執行猶予期間を過ごすことができれば刑の言渡しそのものが効力を失うため、前科として数えられません。

●「執行猶予」中の生活

 「執行猶予」中の生活は、基本的に普段通りの生活をして問題ありません。ただし、保護観察がついた場合は義務が課せられるため、一定の制限がなされます(保護観察:執行猶予等になった者を保護司などに観察・補導させ、社会内で改善・更生を図ることを目的とする制度)。

 また、仕事についても基本的には通常勤務や就職活動が可能とされています。ただし、公務員や警備員などの一部の職業は就くことが制限されたり、医師・弁護士・教員など一部の資格は制限や取消・失効、また取得の制限などをされたりする場合もあります。

 なお、旅行や出張についても、保護観察がついていなければ、基本的に制限はされていません。しかしながら、海外に出国する際は要注意です。出国が認められた場合でも渡航先が入国を認めない場合もあるため、渡航先の国に応じて事前調査が必要です。

 ところで、「執行猶予」中の生活で一番注意すべきことは、「執行猶予」が取消とならない行為をしないことです。執行猶予が取り消されれば、先に言い渡されていた刑が現実に執行されます。その結果、前科がつくことにもなってしまいます。

 ただし、例外として保護観察のつかない執行猶予の猶予期間中に罪を犯した場合で特に酌量すべき情状があるときは、再度執行猶予が可能とされます。その場合は、必ず保護観察がつけられます。

 そして、「執行猶予」中の生活で一番大切なことは、犯した犯罪と真剣に向き合い真摯に反省することです。そのうえで、被害者がいる犯罪の場合は、被害者へ心から謝罪し、補償や賠償などを含めて誠意を持った対応をすることといえるのではないでしょうか。

●「執行猶予」のより現代的な目的

 冒頭で、“「執行猶予」は「短期自由刑の弊害」の回避を目的として誕生した”と述べました。

 しかし、現代における「執行猶予」は誕生時の目的以上に、(1)刑の執行の可能性で犯罪者を威嚇しつつ、(2)自由刑執行による社会生活の中断がもたらす社会復帰への困難を避け、(3)本人の自律的な更生を促す――という、より積極的な目的をもつようになったと考えられています。

 いかがでしたでしょうか。「執行猶予」中の生活について、より具体的なイメージが描けたでしょうか。法制度は現代社会の根底を支える重要な制度で、「執行猶予」もその中の一つです。社会の一員として、大きな意味で自分事として、まずは正しく知ることから始めてみてほしいと思います。

 そのうえで、大前提として、「執行猶予」が言い渡されるような事態、つまりは“有罪の判決を受けた者”とならない生活を送ることが、一人ひとりの市民に求められています。

<参考文献・参考サイト>
・「執行猶予」『日本大百科全書』(須々木主一・小西暁和著、小学館)
・「執行猶予」『世界大百科事典』(山口厚著、平凡社)
・「執行猶予」『法律用語辞典』(有斐閣)
・執行猶予中の生活って?就職への影響や再犯するとどうなるか解説!:刑事事件弁護士相談広場
https://www.keijihiroba.com/criminal-trial/suspended-sentence.html
・執行猶予とは?執行猶予付き判決後の生活|前科、仕事、旅行:弁護士法人泉総合法律事務所
https://izumi-keiji.jp/column/jiken-bengo/seikatsu-eikyou
・資格や職業を制限されたくない:デイライト法律事務所
https://www.daylight-law.jp/criminal/plan/seigensaretakunai/#i

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