中国東北地方に位置する遼寧省(りょうねいしょう)。その省都・瀋陽は「鸡架之城(鶏架之城:鶏ガラの街)」の異名を持つ都市。「鶏ガラの全国産出量の半分は瀋陽人が食べている」なんていう通説もあるほどで、中国全土で鶏ガラ消費量は最大といわれています。実際、瀋陽人に「瀋陽を代表する食といえば?」と問えば、みな迷わず「鶏ガラ!」と即答するとか
しかしなぜそれほど瀋陽では鶏ガラを消費できるのでしょうか。その理由は老若男女、大人は瀋陽が誇る雪花啤酒(雪花ビール)、子供は八王寺汽水(ソーダ水)をお供に、鶏ガラにかぶりついているから。
そう、瀋陽ではスープを取るだけが鶏ガラの役目ではないのです。これを食べだしたら、そして語りだしたらもう、欲罢不能(やめられない止まらない)! 瀋陽人の食生活は鶏ガラ抜きには語れないのです!
煮る、焼く、炙る、燻す…!瀋陽人の深い鶏ガラ愛
そんな瀋陽人の「鶏ガラ愛」。実はわたしも直接触れる機会がありました。まず1回目は、西早稲田の中国茶カフェ『甘露』の人気イベント『中国全省 大☆お国自慢大会』の遼寧省篇。これは該当地出身の留学生に、文字通り“お国自慢”をしてもらう場で、故郷愛とリアルな視点が活きた、ガイドブックには載らない現地情報が得られる楽しい企画です。
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この日は、普段ゲストスピーカーのツッコミ役として活躍している「甘露中国語教室」の謝老板(シェ ラオバン)が鶏ガラで白熱。ついにやってきた故郷の回で、瀋陽人の熱烈な「鶏ガラ愛」を見せつけてくれました。なんと瀋陽では、煮る、鉄板で焼く、炙る、和える、燻す、炒める、揚げるなど、あらゆる調理法で鶏ガラが食べられているのです。

ちなみに瀋陽で鶏ガラといえば『老四季』。瀋陽市民に愛される店として、甘露のイベントでもこの店が登場。こちらの動画(中国の動画サイトbilibiliにリンクします)にもありますが、『老四季』で鶏ガラを食べ、雪花ビールを飲むのが定番の楽しみ方となっているようです。

また、2021年5月には「瀋陽の鶏架(鶏ガラ)ってそんなにおいしいの?」という質問が中国でトレンド入りしたというTweetが。
「瀋陽の鶏架(鶏ガラ)ってそんなにおいしいの?」という質問がネットのトレンドに。15日に瀋陽市で確認、足取りが公開されたCOVID-19陽性者の一人が3日で3回も鶏ガラ料理屋に通っていたことから。スープを取るイメージしかない鶏ガラを料理することが、他地方の人々の興味を誘った。(編集C) pic.twitter.com/vkQN9ttB6a
— 人民中国雑誌社 (@PeopleChina) May 19, 2021
当人は、鶏ガラを食べない日なんてあり得ない!と言わんばかりに、いても立ってもいられない気持ちだったのかもしれませんね。深い鶏ガラ愛を感じました。
鶏ガラは名物なのに裏メニュー!? その理由とは…
ところかわって日本。今や現地系の中国各地の料理店が数多あるなか、これまでこの鶏ガラを見ることはありませんでした。しかしコロナ禍で故郷に帰省できない人々が続出。そんな折、埼玉県戸田市に瀋陽スタイルの鶏ガラを出す『鼎香燻鶏(鼎香熏鸡|ディンシャンくんけい)』がオープンしたのです。
これには「故郷の味を日本で食べることができるようになったぞ!」と戸田まで駆けつけ、歓喜に沸く瀋陽人が続々!
