「その人の顔を見た瞬間、どんな言葉をかけてほしいか、私にはわかるの」、天台寺や京都寂庵での法話、インタビューなどで数々の名言を生み出してきた寂聴さん。言葉の達人であるだけではなく、心を癒す達人でもありました。
今回登場してもらったのは寂聴さんと縁で結ばれていた人たち。それぞれの「私を救ってくれた寂聴さんの言葉」を教えてもらいましたーー。
■「あなたは歌を歌うことで施しをしている」ーー歌手・中村美律子さん(71)
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「先生には私の曲『風まかせ』の歌詞を書いていただいたこともありました。先生はあまり歌番組は見ないそうですが、たまたま寂庵のテレビで私が歌っている姿を見て、気に入ってくださったのだそうです。
『なんて大きな口を開けて歌う女なんでしょう! ブラウン管からはみ出しそうなほどに大口を開けているわ』、そう秘書の方におっしゃっていたとか。それがご縁で旅番組の共演を誘ってくださったり、作詞をしていただいたりしました。’05年ごろの話ですから先生は当時80歳を超えていましたが“泣き言メール”など、詞がお若くて驚きましたね。
なんでも素直にお話しできる方でした。でも悩みがあったり、つらいことがあっても、寂庵でお顔を見るだけで、そんなことは忘れてしまうぐらい先生の笑顔にはパワーがあったんです。