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【健康】大腸菌死菌はなぜ痔の治療に使える?仕組みを解説!

幻冬舎ゴールドライフオンライン

本記事は、足立博一氏の書籍『知って納得! 薬のおはなし』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

大腸菌死菌の作用とは

今回は症例検討で痔治療薬について検討していたときの話題から、大腸菌の死菌が、なぜ痔治療薬として利用されているのかを改めて振り返ろうという企画です。昔からある薬の成分ですが、大腸菌死菌を含む製品は医療用医薬品ではエキザルベⓇ(痔への適応はない)、強力ポステリザンⓇ(軟膏)、ポステリザンⓇF坐薬、ヘモポリゾンⓇ軟膏が知られています。

一般用医薬品でも検索してみましたが、見つかりませんでした。もちろん痔用の外用薬はありますが、大腸菌死菌を含む製品はなく、登録販売者用テキストを見ても該当する成分は紹介されていませんでした。どうやら大腸菌死菌は医療用医薬品のみのようです。死菌つながりでいえば最近は乳酸菌の死菌を含む食品も流通しています。

各製品の含有死菌数は、ポステリザン軟膏とヘモポリゾン軟膏1個(2g)には5.2億個分、ポステリザンF坐薬1個の中には3.9億個分の大腸菌死菌浮遊液が入っています。さらにエキザルベ1g中には大腸菌死菌(1.5億個)だけでなく、ブドウ球菌死菌(1.5億個)、緑膿菌死菌(0.15億個)、レンサ球菌死菌(0.15億個)の4種の死菌浮遊液が入っています。

①大腸菌死菌浮遊液の作用

大腸菌死菌と書いてきましたが、正式な添付文書での名称は「大腸菌死菌浮遊液」になります。培養液で育てていた大腸菌を何らかの方法で殺して、遠心分離をかけたときに、残存している大腸菌の生菌は沈殿し、大腸菌の死骸残渣が浮遊液として上澄み液に入ります。この浮遊液の中には大腸菌の死骸成分(恐らく壊れかけた大腸菌、菌から分解して出てきた大腸菌特有の膜タンパク質、膜脂質、各種核酸など)が含まれていることでしょう。強力ポステリザン軟膏や他の薬のインタビューフォームを見ると、大腸菌死菌浮遊液の作用は次のようになっています。

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(1)白血球遊走能を高め、局所感染防御作用を示す。

(2)肉芽形成促進作用により創傷治癒を促進する。

また上記で紹介した製品には漏れなくヒドロコルチゾンが含まれていますので、ヒドロコルチゾンによる血管透過性亢進抑制作用、熱炎症抑制、浮腫抑制等の抗炎症作用があり、大腸菌死菌浮遊液と共同して痔疾の治癒促進に役立つとされています。

②大腸菌死菌浮遊液の作用機序

より具体的な機序についてはインタビューフォームレベルでは記載されていませんでしたので、薬理学や生理学の書籍ならびに検索した文献などで、より具体的に大腸死菌浮遊液の作用機序を見ていきましょう(若干、空想・想像が入りますので、眉に唾をつけてご覧ください)。

1.白血球遊走能を高め、局所感染防御能作用を示す。

今回の症例検討は痔核(いわゆるイボ痔)の患者さんでしたが、痔には痔核、裂肛、痔瘻の3種類があります。いずれも炎症性であり、痔瘻は化膿を伴う感染症にもなるので一般用医薬品の範疇外になります。いずれにせよ、もともと炎症が存在しているので、炎症性細胞やさまざまなサイトカインが周辺に存在している状況と言えます。

大腸菌死菌浮遊液は既に感染力や病原性を失った大腸菌の残骸ですが、生体にとっては異物であることには違いありません。痔周辺に塗布され組織内に浸潤してきた大腸菌死菌浮遊液は、痔周辺に集まっていた炎症性細胞によって異物として認識され、白血球の遊走性を促す物質をさらに放出するはずです。

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