top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

【小説】手を合わせ、すっと地獄の番人の口に身を投じた。

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、玉野のももたろう氏の小説『龍神伝説』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

切り落とされた髪、幸姫の決意

戸を少し開け、

「風神丸や……こちらにおいで!」

と呼びかけると、暗闇の中より風神丸が部屋へ駆け込んで来た。幸姫は包みを首輪にしっかりと結わえ付けると、風神丸の額を優しく撫でた。

「風神丸や……急いでこれを兄上様に届けておくれ。とても大事な品です。頼みましたよ」

広告の後にも続きます

風神丸は幸姫に強く身体をこすり付け、その仕草は幸姫との別れを悟ったかの様だった。そして、幸姫の手をそっと舐めると、ダッと部屋を出て暗闇の中へ消えて行った。

まだ夜が明けきらぬ時刻、保繁の館で出陣の衣装に整えた保些は、侍女を伴った幸姫を見て驚きの表情を浮かべた。いつも髪を結いあげている幸姫が、今日は髪を長く下し、髪の毛の一部分が切り落とされていたのだ。

「さ、幸姫? その髪はどうしたのだ」

幸姫は紙包みをそっと保些に渡した。開くとそこには髪の束が包まれていた。

「こ、これは……」

「里では、新妻が夫の無事を願う為に夫に渡すお守りで御座います」

  • 1
  • 2

TOPICS

ジャンル