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薬用・食用…人の役に立つ「雑草」の意外な真実

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、宇都宮大学雑草管理教育研究センター教授、博士(農学)・小笠原 勝氏の書籍『雑草害~誰も気づいていない身近な雑草問題~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

雑草の有用性

雑草の中には人の役に立つものがあります。まず、薬用になる雑草です。センブリやイチヤクソウをはじめ、多くの薬用植物が人の生活圏からやや離れた里山に生育していますが、身近な場所にもイタドリ、ドクダミ、タンポポ、ヨモギなど、薬草として利用される雑草が生育しています。

イタドリの和名は「痛みを取る」に由来し、鎮痛剤になるだけでなく若芽は食用にもなります。ドクダミの別名は十薬で動脈硬化から利尿まで、さまざまな効能を示すことから名付けられました。

セイヨウタンポポは明治初期に北米から野菜としてわが国に導入された植物で、根はタンポポコーヒーになり利尿作用があります。カフェインを含まないことから子供や妊婦用に重宝されています。

また、ヨモギは草餅として食されますが、その理由はヨモギの芳香や薬効だけでなく、「艾(もぐさ)」の原料になる葉裏の軟毛と関係しています。軟毛があるからこそ餅や米粉と良く混じりますが、これがホウレンソウだったら均一には混じりません。

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そして、写真に示した有吉佐和子の小説の「華岡青洲の妻」に登場するチョウセンアサガオです。別名が曼荼羅華あるいは気違い茄子と呼ばれるナス科の一年草で、この植物から世界初の乳がん手術に用いられた全身麻酔薬が作られました。もの凄く不快な匂いがし家畜も嫌うことから、世界中で問題になっています。

[写真]シロバナチョウセンアサガオ(Datura stramonium L.)(小笠原)

次に食用になる雑草です。セイヨウタンポポはサラダに、イタドリはお浸しに、オオバコやドクダミは天ぷらで美味しく頂くことができます。葉がしっかりしていて、サクサク感は最高です。スベリヒユは畑の代表的な雑草で、山形県では「ひょう」と呼ばれており、郷土料理の材料になっています。トルコでもセミズオトゥ(semizotu)と呼ばれ、ヨーグルト和えなどで食べられています。

多くの雑草はワラビやゼンマイなどの山菜ほど食用として市民権を得ているわけではありませんが、中には意図的に栽培されていた(現在も栽培されている)雑草があります。それがイネの強害草のヒエです。

日本では、昔からコメの冷害が頻発し、567年から1945年の約1400年間において歴史に残っているものだけでも506回もの飢饉がありました。平均すると1回/2.7年の割合で、日本のどこかで人々は食うや食わずの大変な目にあっていたことになります。

「人間50年、下天の内をくらぶれば夢幻の如くなり」なんて悠長なことを言っている場合ではなかったと思います。代表的な飢饉として、265万人が飢民になり100万人が餓死したと伝えられている1732年に起きた享保の飢饉と、東北地方を中心に30万人以上が餓死したと伝えられている1783年から1788年にかけて起きた天明の飢饉があります。

飢饉は昔のことのように思われますが、1934年に東北地方で大凶作が起こり、秋田県だけでも1万人以上もの女性が身売りや出稼ぎに出されたといわれています。

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