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日常に潜んでいるかもしれない“闇ハラスメント”を描くホラー・ミステリー『闇祓』/佐藤日向の#砂糖図書館㉞

ダ・ヴィンチNEWS

年初めは「初◯◯」を見つけるのが楽しかったりする。

他者と接するときに最も大切なことを教えてくれる『大事なことほど小声でささやく』/佐藤日向の#砂糖図書館㉝

例えば初日の出や初笑い。日常の些細なことでさえ、年始は特別に感じられる。

今回紹介する辻村深月さんの『闇祓』は、2022年初読書の初書評にしたくて、去年からずっと読むのが楽しみだった一冊だ。

本作は、辻村さん初の長編ホラー・ミステリーということもあり、どんな作風なのだろうかとワクワクしながらはじめはページを捲っていたが、普段体験したことのない不気味さが、読み進めるほどに感じられた。

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章ごとに視点が変わり、なおかつ最後の章以外の結末がイヤミスのような終わり方だったこともあり、短編を読んでいる感覚のまま最後の章を読み始めたら、辻村さんファン的には「そうきたか!」と唸らざるを得ない描き方で、怖さを増幅させつつ納得のいく終わり方になっているのが印象的だった。

近年、パワハラやモラハラといった言葉が日常的に使われるようになっているが、作中で描かれているのは”闇ハラ”という新しいハラスメントについてだ。

闇ハラスメントとは、「精神・心が闇の状態にあることから生ずる、自分の事情や思いなどを一方的に相手に押しつけ、不快にさせる言動・行為」とされている。本を開いてすぐにこの文言が記されていて、最初はどういう状態なのか分からずに読み始めたが、一章を読み終えた段階で、もう一度この文言を読み返すくらいには、冒頭の文言が”闇ハラ”にぴったりの説明かつ、このハラスメントは日常に潜んでいる身近なものなのだ、と感じた。

作中に登場するとある家族が、接触する相手に悪意を持って接することで、その相手のみならず、その家族にまで闇を植え付けていく。取り込まれる側の視点で描かれているため、その人が潜在的に持っている驕りや自尊心が家族と接することで増幅し、性格自体が変わっていく様が、各章で丁寧に描かれている。

驕りと自尊心というのは誰にでもあるもので、なんとなく「この人より自分の立ち位置は上だ」というマウンティングのような感覚を、誰もが無意識的に持っているような気がする。それは対等な相手の場合ではなく、先輩後輩や上司との関係で発生するものだと、私は思う。本作にはファンタジーとリアルの要素がバランスよく詰め込まれているため、作中で描かれる”闇ハラ”には妙に真実味があり、怖さが増幅する。

皆さんは、
「この人と話すとネガティブな気持ちになる」
「普段自分のことを話すのに抵抗があるのに、この人なら話せない過去の話も出来ちゃう」
「この人と連絡を取るのは疲れるのが分かっているのに、なぜだか拒むことができない」
と感じてしまった経験はないだろうか。

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