top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

真夜中のパリ、めくるめく甘いキス…まだデートは終わらない

幻冬舎ゴールドライフオンライン

※本記事は、葛生みもざ氏の書籍『Red Vanilla』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。

サン・ジェルマン・デ・プレ秋灯

外国かつパリであるから、しかも子供でもあるまいしという心持ちもあり、私は別にキスを交わしたからといって、べたついた気持ちにはならない。もともとそういう性格なのだ。

しかし、かなりロマンチックな気分にはなっていた。彼と会話をしていたけれど、何を話していたのかよく覚えていない。ポンヌフを引き返すあたりで、「ねえ、夜のポンヌフだわ」と私が感激して言うと「そうだね、ポンヌフだよ」とだけ返ってくる。それが日常である彼にとっては当たり前だろう。あ、また。二度目のキスはさらに甘く、私の唇はもはや彼のものとなった。長いキスを受け止めきれずに私が首をひねって唇を離すと、彼もようやく身体を離してくれた。私たちの距離は確実に近くなった。

私のホテルは彼の店をはさんでポンヌフと反対方向にある。

「ホテルはどこかわかる?」と聞くので「わかるわ。ホテル・サンジェルマン・ドゥ・パリよ」とホテルの名前を告げた。ところが、そのホテルの名前を和訳すると「パリのサン・ジェルマンのホテル」となるので、私が「ホテルはサン・ジェルマン・デ・プレにあるのよ」の意味で言っていると彼が解釈していることが様子でわかった。でも、うまく伝えられず、ホテルまでの道もわかるので、そのままにしておいた。

広告の後にも続きます

私たちはうす灯りのドフィーヌ通りを抜け、間もなくサン・ジェルマン大通りに出た。

彼が立ち止まって言う。

「ここがサン・ジェルマンだよ。ホテルはどこ?」

「あっちよ」

「あのホテルじゃないの?」

「ちがうわ」

  • 1
  • 2

TOPICS

ジャンル