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子どものクリエイティブ・ロジカル思考教育のコツ

パラサポWEB

AI技術をはじめとした革新により時代はめまぐるしく変化している。今現在「価値がある」とされていることが数年後にも同じ価値を持ち続けている保証はどこにもない。そんな不確かな時代を生きていく現代の子どもたちに必要な力を身につけさせる「ユニ育」という教育プログラムがある。「ユニ育」とは何なのか? 子どもたちにはどんな力が養われるのか? このプログラムを運営する世界ゆるスポーツ協会の萩原拓也さんにお話を伺った。

「ユニ育」誕生のきっかけとなった「ゆるスポーツ」とは

ブリを落とすと冷蔵庫送り!? 氷見市で生まれたご当地スポーツ「ハンぎょボール」。ハンぎょボールを楽しむ氷見市の皆さん

萩原さんが所属する世界ゆるスポーツ協会とは、年齢・性別・運動神経の優劣などに関わらず、だれもが楽しめる新しいスポーツ「ゆるスポーツ」を作り出すクリエイター集団だ。富山県氷見(ひみ)市の町おこしの例を紹介しよう。

氷見市は漁業の町として知られるが、中でもブリは特産品として有名だ。さらに氷見市はハンドボールの強豪校、有力選手を輩出したことでも知られている。このふたつをかけ合わせて地元の人々と一緒に開発したゆるスポーツが「ハンぎょボール」。基本的なルールはハンドボールと同じだが、プレイヤーはブリをモチーフにしたぬいぐるみを脇に抱えてプレーをする。ぬいぐるみは出世魚であるブリにちなんで、コズクラ→フクラギ→ガンド→ブリ(氷見地方での呼び名)と、得点をするごとに出世して大きくなる。そのため得点をするほどプレーがしづらくなり、ブリを落とすと冷蔵庫送りになり一時的に退場しなければならない、という、見た目もルールもなんとも面白く独創的なスポーツである。

子どもたちの「ユニークネス」を解放する「ユニ育」

「ハンぎょボール」は氷見市との協力で作ったゆるスポーツだが、世界ゆるスポーツ協会は2015年の創設以来、小学校や大学などの教育現場でもゆるスポーツを作る授業を行ってきた。その中で気づいたのが、新しいスポーツをつくることによって、生徒一人ひとりの「ユニークネス」を解放できるということ。つまり単にスポーツを「する」のではなく、「作る」ところから始めることで、体を動かすのが得意な子も苦手な子も、自分らしさを発揮し自分の持ち味を生かせるようになったそうだ。
そこで2019年、同協会はゆるスポーツを作る授業を「ユニ育」と名付け、クリエイティブな教育の在り方を実践している。

ユニ育によって身につくふたつの力

世界ゆるスポーツ協会の萩原拓也さん

ではゆるスポーツを作る授業・ユニ育を受けることで、子どもたちは具体的にどんな力を身につけることができるのだろうか? ユニ育の事務局長としてイベントの企画や運営に携わっている萩原さんは、その特徴をこう語る。

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「ゆるスポーツは2つの前提があって、ひとつはスポーツが苦手な人も興味を持って楽しめること。もうひとつは社会課題を解決すること。社会課題の解決とは、たとえば障がいのある人と一緒にプレーできるとか、地域活性化に貢献するといったことで、その都度変わります。ですからまず苦手な人に興味を持ってもらうには、見た人が面白いと感じるとか、自分もやってみたいと思うとか、笑っちゃうとか、人間のエモーションに訴えるような作り方をしていかないといけないんです。それにはクリエイティブ・シンキングが必要になります。ただし、面白いだけでルールの整備ができていないと、それはスポーツとして成立しないんですよ。たとえばサッカーは、パスをつないでいく作戦もあれば、ロングボールで勝負する作戦もある。どちらのプレーも成立するのは、きちんとしたルールがあるからなんです。そうしたスポーツのルールを考えるにはロジカル・シンキングが必要になります」(萩原さん)

つまりユニ育は、クリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングの両方の能力を同時に身につけることができる非常にバランスのとれたコンテンツだというわけだ。

クリエイターは魔法使いではなく手品師?

ただ、クリエイティブな能力と聞くと「自分にはセンスがないから」「それって持って生まれた才能が影響するのでは?」と考える人もいるだろう。しかし萩原さんはクリエイティブ・シンキングは訓練すれば誰もが身につけられると言う。

「クリエイターの仕事を見て、どうしてこんなことを思いつくんだろうと驚くことってありますよね。まるで魔法使いのように見える。でも実は彼らは魔法使いではなくて、種も仕掛けもある手品師なんです。ただ、その種や仕掛けをどう使って、どう見せるかによって魔法のように見せられる。魔法は訓練しても使えるようにはなりませんが、手品は練習すれば誰でもできるものです」(萩原さん)

クリエイティブ・シンキングは、知識や経験、観察力を用いて、バラバラだったものに意味を持たせる技術なのだそうだ。

「以前、広島で行ったワークショップでのことです。ちょうどパラリンピックの競技にもなったボッチャが注目されていた頃だったので、広島県の特産品であるレモンとボッチャを組み合わせたゆるスポーツを作ろうというアイデアが出たんです。その時にふと、ボッチャの語源はなんだろうと思いついて調べてみたところ、イタリア語でボールという意味でした。広島でレモンがよく育つのは地中海性気候だからなんですが、地中海性気候でレモンが有名といえばイタリアですよね。これでレモンとボッチャという何の関係もなかったものがイタリアという共通点で関連付けられたわけです。これにより、イタリアにちなんだレモンをモチーフとしたボッチャ系のスポーツを作ろうということになりました。結論だけ聞くとクリエイティブっぽい仕事のように見えますが、こうした関連づけは思考の訓練によって誰でもできるようになるんです」(萩原さん)

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