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第47回城戸賞準入賞作品シナリオ「寄生虫と残り3分の恋」全掲載

キネマ旬報WEB

1974年12月1日「映画の日」に制定され、第47回目を迎えた優れた映画脚本を表彰する城戸(きど)賞。本年度は、対象337作品から準入賞に「グレー」と「寄生虫と残り3分の恋」の2作品が選ばれました。

自己欺瞞・モラトリアムなどから覚醒する三人三様の姿をLGBTを絡ませて描いた「寄生虫と残り3分の恋」。そのシナリオ全文を掲載いたします。

もう一つの準入賞作品「グレー」の全文はこちらから、お読み頂けます。

タイトル「寄生虫と残り3分の恋」

一戸慶乃

あらすじ

 大学中退以来、定職に就いたことのない奈留は、むせるほど辛いカップ麺を食べながら彼氏の帰りを待つことが日常だった。自堕落な自分を許してくれる優しい彼氏の早川。だがその日、早川の口から呆気なく別れを告げられてしまう。奈留は仕事を探し、家を出て行かなければならなくなった。

 そんな折、親友の岩瀬を家に連れてきた早川。岩瀬は早川とは反対に、歯に衣着せぬ物言いのさっぱりとした男だ。その日から、短い3人暮らしが始まる。

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 岩瀬の目もあり早々にバイト先を見つける奈留だったが、店長のセクハラ発言に耐え兼ねすぐに逃げ出し、また元の生活へ逆戻り。そんなある日、突然奈留の両親が訪れる。父親のてる彦は、優しすぎる早川と自分を重ねていた。てる彦は早川に土下座をしてまで娘と別れるようにと勧める。そんなてる彦に、もう別れることは決めていると答える早川。その言葉を聞いた奈留は、改めて早川が本気なのだと気づくのだった。

 奈留は翌日、職業支援センターへと向かう。前に進まなければと泣く泣く舵を切ったのだ。だが体は思うように動かない。浴びるように酒を飲み、なんとか受付へたどり着くが心は折れ、笑いと涙が止まらなくなった。そんな奈留を迎えにきた早川に、奈留は「好きだ」と小さく呟く。早川はもう何年も聞いていなかった奈留のその言葉に、ひどく動揺した。それと同時に、奈留を養ってきたことは自己満足だったのではないかと疑問を抱き始める。

 そんな早川の迷いを知った岩瀬もまた、複雑な気持ちを抱く。岩瀬は親友である早川に、恋愛感情を持っていたからだ。それに気付いてか早川は、岩瀬を拒絶するような態度を見せる。その翌日、岩瀬は早川と奈留の前から姿を消した。

 必死に前を向こうとする奈留。本当にこれでよかったのかと自問する早川。一向に帰らない岩瀬。別れの日だけが刻々と近づいた。

 そして最後の日。早川は奈留と岩瀬に、「ふたりを自己満足のための存在として利用してた」と打ち明ける。早川は自分の弱さを認めるため、ふたりとの決別を選んだのだ。そして奈留と岩瀬もまた、別れを受け入れ前に進んでいく。

登場人物

木嶋 奈留(28)無職

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