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四川食旅⑥豆板醤|スローな味噌にしてくれ。そら豆と唐辛子で仕込む四川料理の魂

80C[ハオチー]

四川食旅⑥豆板醤|スローな味噌にしてくれ。そら豆と唐辛子で仕込む四川料理の魂

この記事は、四川省の省都・成都市の文化情報発信サイト『Go Chengdu』の連載「川菜一番」の日本語版です(中国語版はこちら)。「外国人が見た四川料理」をテーマに、80C編集のサトタカが成都の美食を日中のメディアで発信します。

中国料理の味わいを表現する言葉に、家常(ジャーチャン|jiācháng)という言葉がある。家庭風という意味合いだが、四川料理における家常は、豆板醤(豆瓣醤 ※以降、日本式の表記である豆板醤と記す)を使った味わいであることが多い。

豆板醤は「川菜之魂(四川料理の魂)」といわれる。日本でもおなじみの麻婆豆腐や回鍋肉はもちろん、魚を煮込んだ豆板魚、煎り焼きした豆腐を煮込んだ家常豆腐、芋と鶏肉をこっくりと煮込んだ芋儿焼鶏など、豆板醤を使った四川料理は枚挙にいとまがない。恐らく、名もなき家庭料理もあるだろう。

日本の場合、“辛さのちょい足し”に使われることも多いので、そう言われてもピンと来ないかもしれないが、豆板醤は味噌の一種だ。日本でも味噌が料理の味を決めるように、豆板醤も味の要。コク、うまみ、塩味、香りを加えることができる発酵調味料として、四川省では家庭に常備されている。

豆板醤。商品によって塩分や唐辛子の量、挽き方、熟成期間などが異なる。写真は菜種油が加えてある豆板醤。 豆板醤を使った煮込み料理。成都郊外のレストランにて撮影。 「陈麻婆豆腐 骡马市店(陳麻婆豆腐店 騾馬市店」の麻婆豆腐(2018年4月撮影)。麻婆豆腐は豆板醤が欠かせない料理のひとつ。

そもそも味噌とはなにかというと、穀物に塩を加えて発酵・熟成させたペースト状のものだ。

日本で多く食べられている米味噌の場合、蒸した大豆に、塩と米麹を加えて発酵・熟成させるのが一般的だが、伝統的な豆板醤は、蚕豆(そらまめ)を原料とした甜豆瓣(ティエンドウバン)を使い、塩と刻んだ赤唐辛子を加え、半年~数年という長期熟成を経て作られる。

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この甜豆瓣とは、わかりやすくいうと蚕豆麹(そらまめこうじ)をさらに発酵させたものだ。蒸した大豆に麹を加えて熟成させるのではなく、麹化した豆すべてを長期熟成させるという点で、豆板醤は八丁味噌に代表される日本の豆味噌の製法と似ている。しかし、“豆板醤のもと”となる甜豆瓣づくりには、恐ろしいほど時間がかかる。

甜瓣子に約1年、熟成に数年。スローな豆板醤の作り方

成都にある四川料理の博物館「川菜博物館」で伝統的な豆板醤の製法を記録した『尋味記』によると、豆板醤づくりには2本の柱がある。ひとつは蚕豆麹(そらまめこうじ)をさらに発酵させた甜瓣子(ティエンバンズ)、もうひとつは刻んだ唐辛子を発酵させた剁椒(ドゥオジャオ:剁辣椒ともだ。

甜瓣子は、乾燥させた蚕豆をゆで、全体に小麦粉をまぶして麹化したものを、塩水に浸して日々混ぜ合わせること3~4か月。日夜晒し、約1年を経てできあがる、赤褐色の“豆板醤のもと”。

一方、剁椒は新鮮な二荆条唐辛子を刻んで塩を加えて発酵させたもの。1年がかりで仕込んだ甜瓣子に、この剁椒を入れて熟成させるのだが、さらにここから最低1年、長くて5年の月日を要するのだ。

剁椒(ドゥォジャオ)。豆板醤には実際はもっと細く挽いたものが豆板醤に使われる。写真は荒川区「寶山道」のもの。

ちなみに中国のウェブなどで紹介されている豆板醤の作り方には、霉豆瓣(メイドウバン:蚕豆麹)、刻んだ生唐辛子、生姜などの香味野菜、青花椒、白酒、油、水などを加えて数週間置いて完成させるレシピが見られる。これは蚕豆麹に調味料を加えてつくる即席味噌のようなもので、長期熟成させるものとは性質が異なる。

蚕豆でつくられる霉豆瓣(メイドウバン)。霉(メイ)とはカビの意味。写真は重慶市の市場にて撮影。

また、日本で紹介されている豆板醤の作り方には、生の蚕豆を蒸して、米麹、粉唐辛子、塩を加えて発酵させるレシピが見られる。実際にその製法で作ってみると、米麹と国産蚕豆の持ち味からか、どこか日本の味噌に近い味わいとなるようだ。

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