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新カルチャーが生まれる次なる場所、SDGsアリーナに大注目!

パラサポWEB

スポーツの公式戦やコンサートなどのビッグイベントが開催されるアリーナは、日常から離れて“熱狂を体感する場所“だ。故に、特別な時しか行かない、小さな子どもと一緒だと行きづらいと感じている人も多いかもしれない。
そんな中、今、日本初のSDGsアリーナとして、2024年神戸市ウォーターフロントに誕生予定の大規模アリーナ(仮称:KOBE SMARTEST ARENA/通称:神戸アリーナ)に注目が集まっている。ここは、“誰もが熱狂できる場所”、“日常的に通いたくなる場所”として、サステナブル時代にふさわしい新たなカルチャー発信地を目指しているという。一体どんなアリーナになるのか。神戸アリーナの運営を担う株式会社One Bright KOBEの代表取締役岩本健太郎氏にお話を伺った。

地域全体に賑わいを起こすシンボリックな場所へ

神戸アリーナ運営事業を担う、(株)One Bright KOBEの代表岩本健太郎氏
夜の神戸アリーナのイメージ

――― まず、これまでのスポーツ施設としてのスタジアムやアリーナと比べて、神戸アリーナの大きな違いは何でしょうか?

従来のスタジアムやアリーナは、スポーツを観戦するために訪れる場所という位置付けですが、神戸アリーナは、興行以外も楽しめる複合アリーナになります。そうはいっても、ただの商業施設ではありません。
私たちの根幹は『スマート・ベニュー(R)』にあります。『スマート・ベニュー(R)』とは、日本政策投資銀行(DBJ)が定義するスポーツを核とした街づくりのことで、そのひとつに、スポーツ関連施設以外との複合化を図り、街づくりの中核を担う交流空間にすることが掲げられています。つまり、ただのスポーツ施設ではなく、地域の方が日常的に足を運びたくなる場所にすることが街づくりに必要ということ。
そのためにも、神戸の方々が自慢したくなるアリーナをつくり、文化や産業、経済のシンボルにしたいと思っています。

――― そういったことを実現するために、“民設民営”にこだわっていると伺いました。

現在、日本国内にあるスポーツ施設の多くは、“公設民営”というスタイルで運営されています。公設民営というのは、行政機関が建設した施設を民間受託または指定管理というかたちで企業や団体が比較的安価で使用することなのですが、このような箱物行政は収益化しにくい上に、予算や公共性を重視して作られた施設なので、「使いづらい」、「物足りない」と感じる部分がどうしても出てきてしまうんですよね。結果、巨費を投じて建てた施設が負の遺産と呼ばれてしまうこともあります。
そういったこれまでのスポーツ施設の課題を踏まえて、神戸アリーナは、民間事業者が資金調達から建設、運営までを行う民設民営を基本としています。事業として収益化しなければならないため公設施設よりも賃料は高くなりますが、自分たちで価値を高められるよう、あらゆる点をコントロールできるので、誰もがワクワクできるような施設づくりが可能になります。

――― アリーナだけが収益を上げるのではなく、街全体を活性化していくことを目標にしているということですね。

はい。私たちの仕事は、魅力的なアリーナを建設・運営するだけでなく、周辺の方々と協力してベイエリアを盛り上げることなので、我々のアセットを使ってもらいながら、地域の方々や企業様が持っておられるコンテンツやテクノロジーと連携させていただいて、日常的に多くの人が集まるエリアにしたいと思っています。そして、神戸アリーナをコミュニティや媒体としての機能を持った、社会課題の解決のきっかけとなる場所にしたいですね。

環境にも徹底配慮!サステナブルなアリーナに

――― 社会課題の解決、というお話が出ましたが、神戸アリーナはSDGsアリーナとしても注目されていますよね。具体的にどのようなことに取り組む予定でしょうか。

一般的に、スタジアムやアリーナは建設・運営に大量のエネルギーを必要とするため、環境負荷が大きいと言われてきましたが、神戸アリーナはカーボン・オフセット(抑えられなかったCO2排出量を他の場所の削減分で埋め合わせること)に真っ先に取り組み、将来的にはカーボンマイナス(CO2の排出量よりも、CO2の吸収量を増やすこと)を目指したいと思っています。わかりやすいところでいうと、再生可能エネルギーの使用、プラスチック製品の削減などは徹底していく予定です。
世間的にも脱カーボンがトレンドではあるのですが、神戸アリーナは大規模な複合型施設であり数十年にも及ぶ事業でもあるので、商業的・経済的なことだけでなく地球環境にも配慮することが社会的責務だと認識しています。

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――― プラスチックへの配慮などは、飲食店やグッズショップなどのテナントの協力も必要ですよね。

そうですね。単純にテナントとして入っていただくというわけではなく、私たちのサステナブルコードにご共感・ご理解いただける方々とタッグを組みたいと思っています。飲食系テナントに関しては、プラスチック製品だけでなくフードロスの削減にもご協力いただきたいところ。現在、販売状況などをデータ化できるよう、アリーナ内のすべての店舗にこちらが用意するPOSレジを使っていただく方向で考えています。我々が売上を管理するようなかたちにはなりますが、データを仕入れや在庫管理などに活用していただくことでフードロスの抑制につながるのではないでしょうか。

―― しかし、来場者が食べ残すこともあると思います。その点に関して打つ手はないでしょうか。

提供するサービスの在り方も含めて取り組まないといけない問題なので、ご来場いただく方々にストレスのないかたちで何かできないかと模索しているところです。まだ構想段階ではあるのですが、アリーナ内にコンポスト(生ごみ処理機)を設置してゼロ・ウェイスト(ごみをゼロにすることを目標に廃棄物を減らす活動)を実現したいですね。それから、排気ガス削減の一環としてアリーナまでマイカーではなく公共交通機関を使ってご来場いただいた方に何か特典のようなものがあるといいのではないかと検討中です。

誰もが楽しめるユニバーサルなサービスを提供

――― SDGsアリーナということで、地球環境へのコミットの他にもアリーナを通してインクルーシブな社会の形成を目指しているそうですが、どんな取り組みをされる予定ですか?

国際色豊かなアリーナにするため、あらゆる部分で海外からの来場者を想定したサービス、ホスピタリティを取り入れる予定です。スタジアム内の案内表示はもちろんですが、全国2位の国際会議誘致数を誇る神戸市として、さらに多くのMICE(会議・研修・報奨旅行・国際会議・大会・展示会などのビジネストラベル)を誘致できるよう、多様な文化・価値観・宗教に対応した設備でありたいと考えています。

――― アクセシビリティなどの設備面はいかがでしょうか?

SDGsアリーナとしてアクセシビリティを重視し、様々な身体の状況の方々が楽しめるような施設にすることを視野に入れています。例えば、車いすでは限られたエリアでしか楽しめないのが今までのスポーツ施設の在り方だったのですが、車いすでご来場された方でもぐるっと回れるようなアリーナの作りにするなど、限りなく一般の観客の方々と一緒になって楽しんでいただける客席をご用意したいと思っています。
また、以前、私が家族と一緒にアリーナを訪れた際、子どもが大きな音にびっくりして観戦どころではなくなってしまったという経験から、感覚過敏の方や小さなお子さん連れの方などに使用していただけるセンサリールームや授乳室など、誰もが遠慮せずに楽しめるような空間を作り、多様性に配慮した観客席の在り方を実現したいと考えています。

――― ちなみに、視覚に障がいのある方もスポーツ観戦を楽しめますか?

例えば、視覚に頼らずに試合の展開や会場の賑わいを感じていただけるよう、試合や観客席の状況に応じて振動するボールのようなデバイスを持っていただこうと考えています。ただ、神戸アリーナが開業する2024年までに、視覚補助シートやウェアラブルデバイスが実用化する可能性もあるので、よりよいサービスやホスピタリティを提供できるものを採用したいと思います。

みんなにとって、スポーツがもっと日常になる媒体へ

―――スポーツ施設としての取り組みにおいて、他との違いはありますか?

スポーツを通して健康寿命を延伸できるような取り組みを行う予定ですが、スポーツやスポーツ観戦に壁を感じている人も、スポーツがより身近なものとして生活に取り入れられるような仕組みを作りたいと思っています。
まだ構想段階ではありますが、Bリーグ所属のプロバスケットボールチーム、西宮ストークスのホームアリーナになるので、バスケを通じて健康づくりを促す“バスケットボールラボ”は実現したいですね。他にも、ストークスの選手と一般の方が一緒にトレーニングができる会員制ジムをつくる、行政と連携してアリーナを含むウォーターフロントそのものをランニングコースにする、アリーナの敷地内に健康状態を簡易で測定していただけるような機能を備えるなど、いろいろ考えています。

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