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“パリ世代のキーマン”橋本勝也は悔しさから這い上がる 車いすラグビー

パラサポWEB

2021ジャパンパラ車いすラグビー競技大会が20日と21日、千葉ポートアリーナで行われた。東京2020パラリンピックで銅メダルだった日本代表は、パリ大会で喉から手が出るほど欲しかった金メダルに再び挑戦すべく再始動。目標達成の課題のひとつが、選手層を厚くすることであり、日本代表のケビン・オアーヘッドコーチ(HC)は若手育成に注力している。

日本代表候補選手を3チームに編成して紅白戦を行った今大会。その顔ぶれに、世界屈指のハイポインターである池透暢(3.0)と池崎大輔(3.0)はいない。そんな先輩たちに、東京パラリンピックの試合後「次はお前の番だ」と次世代を託された橋本勝也(3.5)は2日間、だれよりも速くコートを駆け回った。

日本代表チームは底上げがテーマ。19歳の橋本は今大会の顔となった

“金の卵”から先輩たちを超える存在を目指す

チーム最年少で出場した東京大会はベンチで過ごす時間が長く、とにかく悔しい思いをした。橋本は日本代表ハイポインターの4番手。キャプテンの池が5試合で142分、池崎が107分、島川慎一(3.0)が60分出場したのに対し、橋本のプレータイムは計10分11秒。銅メダルをかけたオーストラリア戦では出場の機会もなかった。

それでも特別な舞台で銅メダルを胸にしたことで、この悔しさを糧にしたいと前を向いた。

ジャパンパラではコート内でリーダーシップを示した

「日本には世界のハイポインターが3人いますが、僕はまだ未熟。ベンチから見ていて、パラリンピックという舞台の重み、一試合の大切さを感じましたし、一つひとつのプレーも最後まで集中を切らさずにやらないといけない。すべてが負けられない戦いで、すごく大きなプレッシャーもかかるし、覚悟が大切だと思いました。少しでも早く3人に追いつき、追い越せるように頑張りたいです」

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その橋本は、東京大会で持ち点が3.0から3.5にクラス変更になった。コート上の4人の組み合わせにも影響が出るため、本音はショックに違いない。

「橋本選手のスピードもあり、パスの能力、ダイナミックなプレーという持ち味がある」(オアーHC)

だが、気持ちは揺るがない。目標はあくまで「世界一のプレーヤーになること」。東京大会でも活躍したオーストラリアのライリー・バット(3.5)のパワー、カナダのザック・マデル(3.5)のチェアスキルを学ぶなどやるべきことはたくさんあるからだ。

「3.5クラスになっても役割に変わりはないが、3.5以上のプレーをすればチームの助けになるはずです」。気持ちを新たにして個人トレーニングのメニューを変更。これまでは走り中心だったが、細かな車いす操作に注力するようになったという。

橋本は東京パラリンピック日本チームの中で唯一、フルタイムで働きながら代表の座を掴んだ

芽生えたナンバーワン選手の自覚

そして迎えた今大会。日本代表候補Bチームに入った橋本は、予選2試合でチームの一番手として勝利に貢献。体幹を活かしたスピードで守備網を突破して観客を沸かせただけでなく、以前よりスタミナやパスのスピードやレンジの長さで成長を見せた。

とくに島川のいる日本代表候補Cチームとの一戦では、スピードに乗り、自由自在にコートを駆け回った。日本代表の今井友明(1.0)、乗松聖矢(1.5)と組む攻守にバランスのいいラインだけでなく、同じ3.5クラスの村田和寛と得点を分け合うラインも機能。52対51と僅差で勝利し、笑顔で予選を終えた。

場内アナウンス席からのインタビューに笑顔で応える

だが、同じ日本代表候補Cチームと対戦した決勝では、橋本より障がいの軽い選手のいない選手たちによる連携した守備に苦戦。「昨日と比べ、チーム内のコミュニケーションが取れていなかった。コートでは年齢は関係ない。(年上の選手に対しても)もっと指示できるようにならなければ」と反省を口にした。

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