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【凛九 伝統工芸を継ぐ女性たち】その七《漆芸》大内麻紗子さん 「漆の魅力を現代的なスタイルで発信していきたい」

OVO

 東海地方で活動する女性伝統工芸家9人のグループ「凛九」のメンバーを紹介する連載インタビュー。第7回は、漆の樹液を塗料や接着剤として用いる工芸技術「漆芸(しつげい)」に取り組み続ける大内麻紗子さん。「漆」という素材の魅力を若い世代に向けても発信していくために日々“妄想”しているのは「漆とサブカルチャーの融合」。いわゆる師匠がいない中での作家活動の模索、妄想しているという漆の斬新な活用法など、ユニークな視点を伺った。

スポーツウエアのデザインの仕事を退職、工芸の道を目指す

――会社を辞めて工芸の道へ。決断の理由は?

大内 文化服装学院・服飾専門課程を卒業後に就職したスポーツメーカーを、2年経たずに退職しました。当時の仕事内容は、スポーツウエアの仕様書作り。服を作るまでの素材、色、縫い方その他さまざまなことをまとめる作業で、グラフィックデザインソフトウエアのイラストレーターを使い、1日中パソコンでの作業でした。学生の時にやっていたのは、実際にミシンを踏んで自分の目指す衣類を作っていく作業だったので、会社での仕事となるとまた違うなと。それでも、自分が携わった作品がサンプルとして上がってきて、展示会などで並ぶととても感動しました。
 でも、売れ残ると廃棄されるので、最終的にセールで頑張って売るんです。新しいものが、処分セールという形で並んでいるのにすごく寂しさや責任感のようなものもすごく感じてしまって。作っていく段階の布を染め直しなどもこだわりを持ってやっていましたが、染め間違えたものは一体どこに行くんだろうとかとも。スポーツウエアも流行があり、常に先のことを見据える中で、過去のことは忘れ去られて行く、残っていかない、という感覚が大きかったと思います。

 

 今考えれば、仕事への葛藤も、もっとやりようがあったと思いますし、続けていたら考え方も変わっていただろうなと思います。でも若かったので…。「自分の手で作る」ということをしたい、それをやるにはどうしたらいいかと考えました。

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――退職時には既に漆作家の道を目指そうと思っていたのですか?

大内 その時点では、伝統工芸をしたいというのもなかったです。美術を学べる大学進学を目指し、原宿にある美術予備校に通いました。そこで出会った学生さんの先生が大学で「漆芸」を学ばれていて、いろいろなお話を聞いているうちにすごく興味がわいたんです。国立の芸術大学を目指し、美術の勉強や実技の練習に加え、センター試験の勉強にも励みました。過酷でしたが、中学高校時代よりも必死に学科の勉強に集中できました。

――結果的に、大学で学ぶのとは異なる形で漆の勉強をスタートされたのですね。

大内 希望の大学に不合格となり、もう1回受験をするか、漆を学べる場を他に探すか、先生を探して弟子入りするということができるのかどうか…ということを3日間ぐらいで考えました。香川県の漆芸研究所が二次募集を行うということで、電話で問い合わせをして。郵送では受験の申し込みも間に合わなかったのですが、当日申し込みしてくれればいいですよと言っていただき、受験し、合格しました。
 大学に落ちてから香川での生活が始まるまでは2週間なかったぐらい。それまで千葉・松戸の実家を出て1人暮らしをするつもりもなかったのですが、とにかくやりたいことができる環境を目指して勢いで動きました。

 

――香川県漆芸研究所で漆芸の基礎を2年間学んだ後、三重で「浅沓(あさぐつ)」と出会われました。

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