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「僕は幸せだなと思う」。柿谷曜一朗の華麗なゴールは「ドラマ的に言うと…」。あこがれ続けた大久保嘉人への想いとは?【コラム】

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「僕は幸せだなと思う」。柿谷曜一朗の華麗なゴールは「ドラマ的に言うと…」。あこがれ続けた大久保嘉人への想いとは?【コラム】

 目下3位のヴィッセル神戸が横浜F・マリノスに負けているという報を耳にして、何としても勝ち点3をつかんでACL出場への望みをつなぎたかったはずだ。この狙い通り、徐々に流れを引き寄せていく。それを決定づけたと思われたのが、後半22分の先制点だった。

 ペナルティエリア外側の中央の位置で得たFK。名手・マテウスが狙うと思われたが、左へ展開。長澤のクロスを山崎がヘッドで落とし、中央で中谷進之介がシュートしようとしたが、コントロールしきれず、ボールは右にこぼれた。

 次の瞬間に反応したのが柿谷。右足でワンタッチしていきなりバイシクルをお見舞いしたのだ。これにはセレッソ守備陣も意表を突かれ、キム・ジンヒョンも反応しきれない。シュートは左ポストに当たってネットを揺らす。多くのファンから「年間ベストゴール」と称される華麗な1点に名古屋の面々は沸き返った。

「ひらめき? じゃないですかね。シン(中谷)がボールを触った時、いい感じで僕のところに来るんじゃないかなと。ドラマ的に言うと、僕に嘉人さんが乗り移ったかのようなゴールだったと思います」

 興奮気味にこう話す柿谷に対し、大久保は素直に賞賛の言葉を贈った。

「研ぎ澄ませていかないといけない」

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「非常に嬉しかったというか、目の前で曜一朗らしいゴールを決めたのが、ホント素晴らしいなと。『よくやった』とあの瞬間は思いました」と。

 まさにミラクルゴール。この1点が名古屋の勝利につながれば、背番号8にとっては理想的な展開に他ならない。けれども、「勝って大久保を送り出そう」と士気を高めるこの日のセレッソは決して諦めなかった。それが後半35分の藤田直之の同点弾、そしてラスト3分の西尾隆矢の逆転弾につながる。

 どちらもリスタートからで、最近の名古屋が課題と位置づけていた形だった。

「セットプレーのところで立ち位置、連係含めて研ぎ澄ませていかないといけない。相手を引っかけて与える回数も多くなった。それを減らす努力をしながら、1試合1試合どういう形でやられたかをみんなで話し合いながらやらないといけない」

 稲垣が神妙な面持ちで語るように、一瞬の隙を突かれた名古屋は1-2で逆転負け。3位を逃した挙句、4位の座も鹿島アントラーズに明け渡して5位に転落する格好になってしまった。

柿谷曜一朗は偉大な先人のように…

 大久保に惜別のゴールを送った柿谷としても、その1点がチームの勝利、ACL出場権獲得につながらなかったのは事実。悔しさはひとしおだったに違いない。

「失点した時は後ろがかりになっていた。相手の圧力は強かったけど、もうちょっと修正を早くしないといけないなと思ってます」と彼は気丈に前を向いた。

 実際、まだ完全にACLの道が途絶えたわけではない。鹿島とは1ポイント差で、12月4日の最終節・浦和レッズ戦次第では4位でフィニッシュできる可能性はある。そのうえで、川崎フロンターレが天皇杯を獲れば、4位のチームが繰り上がるからだ。

 そのシナリオは奇しくも大久保が無冠で現役を引退するという結末になってしまう。だが、名古屋の来季を考えたら仕方がない。勝負の非情さを嫌というほど分かっている柿谷も信じて突き進むしかないのだ。

 この日、大久保と交換してもらったユニフォームを手にすれば、自然と闘争心が湧いてくるはず。30代になって点取り屋としての才能を大きく開花させた偉大な先人のように、名古屋の背番号8もここからを本物の全盛期にすべく、一歩一歩、前進してほしい。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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