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「KADOAKWAのメディアミックス全史」をいますぐゲットすべき5つの理由

Game*Spark

「KADOAKWAのメディアミックス全史」をいますぐゲットすべき5つの理由

今メディア業界で話題の「KADOAKWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展」。

もともと「KADOKAWA(角川書店)の3冊目の社史」として一部の関係者限定で配布されたものが評判となった結果、KADOKAWAが運営する電子書籍書店「BOOK☆WALKER」で電子版が2021年11月30日まで無料で配布されています。

「社史なんて」と思うかもしれませんが、非常に読みやすく面白いですし、ゲームやエンタメビジネスの関わる人間なら、読んでおきたい1冊です。

「KADOKAWAのメディアミックス全史」を読むべき理由
日本のオタク市場の形成過程が把握できる。
パッケージ販売からネット配信へなどコンテンツビジネスの移り変わりがわかる。
同族経営の中堅出版社からプラットフォーマーを目指す上場企業への成長過程がわかる。
巨大コンテンツビジネスを創り上げた人達が、ターニングポイントで何を考えていたかがわかる。
成功例だけでなく失敗例も豊富に挙げられており、チャンレンジを続けることの重要性がわかる。

いわゆる“社史”とはだいぶ様相が異なっていて、実際にはKADOKAWA社内から見た、アニメ・ゲーム・コミックス・ラノベといったオタクコンテンツとデジタル配信の発達史であり、競合会社やプラットフォーマー、さらに社会や文化の動きも含めて、詳細なデータに加えて良い意味で著者の主観を絡めて語られています。

この本を執筆した佐藤辰男氏は、KADOKAWAの元社長/元会長と紹介されがちですが、もともとは記者で編集者。「週刊玩具通信」の記者時代に黎明期のテレビゲームに着目し、PCゲーム攻略誌の企画書を角川書店の専務だった角川歴彦氏の元に持ち込んで雑誌「コンプティーク」を創刊。本書はそのあたりの経緯が当事者の立場から語られていきます。

PC誌として後発のコンプティークは苦戦しますが『ゼビウス』の隠しコマンドを掲載してブレイク。さらに差別化の策としてTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のリプレイ企画「ロードス島戦記」を連載したことから小説版が生まれ、のちに「最初のラノベ」と呼ばれるに到ったそうです。

これを書いているのが当時の現場の責任者なので、そこら辺のビジネス本では太刀打ちできないリアリティがあります。

まるで映画や小説みたいなKADOKAWA激動の歴史
KADOKAWAは、いまでこそ小学館・集英社・講談社の3大出版社に並ぶ大出版社と位置づけられますが、1970年代までは週刊誌もマンガも売らない中堅の文芸出版社・角川書店に過ぎませんでした。

それが創業者の角川源義氏が早逝し、跡を継いだ長男の春樹氏が角川文庫作品の映画化に乗り出してヒットを飛ばし、次男の歴彦氏も「テレビのブラウン管の周辺に新たな雑誌の創刊のヒントがある」と「ザテレビジョン」(TV誌)、「コンプティーク」(PC誌)、「Newtype」(アニメ誌)などを創刊して成功。

兄弟ともに早くから出版と映像メディアの相乗効果=メディアミックスを指向していたのです。

その後、映画制作にのめり込みすぎた春樹氏が失敗を繰り返して膨大な赤字を積み上げ、疑心からか歴彦氏を追放。著者の佐藤氏らコンプティークやラノベを作っていた角川メディアオフィス社の70人は、辞表を出して歴彦氏の後を追い、ゼロからメディアワークス社を立ち上げました。

ところが春樹氏がコカイン密輸で逮捕され、歴彦氏は角川に戻って社長に就任。まるで映画や小説の筋書きみたいな話が展開します。

上場とM&Aでメディアコングロマリットへ
独立心旺盛な佐藤氏らメディアワークス社は角川には戻らず、古巣と差別化するために、ファンタジーやSFに拘らないノンジャンルの電撃文庫を立ち上げ、ラノベのトップレーベルとなります。ただ最終的には「大きな枠組みの中でより高い山を登るべきだ」という歴彦氏の説得でメディアワークスは角川傘下に戻りました。

春樹氏のワンマン体制の弊害を反省した歴彦氏は、角川書店を株式上場させて健全な会社に作り替えます。出戻ったメディアワークスに加えて、上場で得た資金を使ってアスキー&エンターブレイン、リクルート系のメディアファクトリー、中経出版などを次々と買収して規模を拡大。

角川書店(及び傘下の富士見書房)とメディアワークスとメディアファクトリーはラノベ市場のライバルであり、メディアワークスとエンターブレインもゲーム誌市場において競合していました。

それらがひとつになることで、角川グループ(後にKADOAKWA)は、オタクカルチャーとメディアミックスの分野で非常に強い会社に成長していきます。特にラノベに関してはほぼ寡占状態でした。

別の側面では、パナソニック、ソネット、ドコモなど他業種の企業とのダイナミックな協業の顛末もそれぞれに興味深いものがあります。パナソニックとの電子書籍専用端末の開発やソネットとの地域別情報サービスは失敗に終わりましたが、ドコモとの取り組みは「dアニメストア」と「dマガジン」という人気サービスに結実します。

ドコモ側の当初のリーダーが現在のKADOKAWA社長・夏野剛氏であったり、当時のソネット社長が現在のソニーグループCEO・吉田憲一郎氏であるというのも、人と会社に歴史ありという感じで興味深いです。

ガンダムも時かけもAKB48も!?
このほか、他社で展開されていた「機動戦士ガンダム」関連コンテンツがKADOAKWAで出版されるようになった理由、細田守監督がブレイクしたアニメ版「時をかける少女」の成立秘話、子会社のキャラアニが(本来はKADOKAWAのキャラクター商品を売る会社なのに)AKB48のブレイクに寄与して黒字化した話など、なじみ深いメジャーコンテンツの裏話もいろいろ載っています。

コンテンツビジネスやエンターテインメントビジネスを志す人も、そうでない人も読んで損はないでしょう。とりあえず入手しておくことをオススメします。読むためには「BOOK☆WALKER」の会員登録が必要で、BOOK☆WALKERアプリ(iOSもしくはアンドロイド)か、PCやMacではWebブラウザ上で読むことができます

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