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【がんを生きる緩和ケア医・大橋洋平「足し算命」】発病して気付いた、押しつけられる苦痛

OVO

2021年11月25日=962

*がんの転移を知った2019年4月8日から起算

決める自由

 人間という生き物は、どうして己の価値観を、かくも他人に押しつけたがるのだろう。もし小学生の子どもが学校から帰って、そのまま遊びに行く、あるいはゲームをし始めようものならば、「宿題やってからにせーや」(やってからにしなさい)などと言ってしまう。

 だからといってわが子がその命令に従うかというと、実際にはそうでないことの方が多い。子を持つ親ならば誰しも経験しているとお察し申し上げる。

 強制・強要では、たまったもんじゃない。なぜならば自分で決める自由すなわち自律が奪われるからである。わたくしも息子にしばしば言われた。「オレにはオレの人生があるんや!」

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 一方、自分で物事を決める機会を与えられたならばどうか。結果がうまくいけば満足感・充実感はひとしおだろう。そして、たとえうまくいかなかったとしてもその結果に納得できる。自己責任が取れるのである。

放任できた

 わたくしは悲しいかな、これらのことに、発病まではほとんど気付けなかった。いや、うっすら気付いていたかもしれないけれど、実行できなかった。がんを発病し、現在もがん治療を続ける中で、ようやく実行できるようになった。その理由は二つ。

一つ目。

 わたし自身「あれせぇー」、「これせぇー」と言われることに、はなはだ苦痛を感じるようになったからである。
 己に元気がある、余力があった発病前ならば、また違ったろう。実際にできるかもしれない、または「そんなん、できへんわぁー」と突っぱねるかもしれない。しかし自らが弱っていると、なかなかどちらも難しい。

二つ目。

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