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もうごまかせない。AIで顔の筋肉のかすかな動きから嘘を見破る嘘発見器が開発される

カラパイア


 イスラエルの研究グループが開発した最新の嘘発見器は、AI(人工知能)技術により、顔に一瞬だけ現れる筋肉のかすかな動きをキャッチして、嘘を見抜いてしまう。

 相手の目を見ながら真顔で嘘をつくことができるひとでも、次世代型嘘発見器なら、一瞬の表情の変化も見逃さない。

 まだ開発の初期段階だが、高確率で嘘を見破ることができたと『Brain and Behavior』(21年10月22日付)で報告されている。

これまで嘘発見器として使用されていたポリグラフの欠点

 かつては記憶検査の一種、ポリグラフが嘘発見器として使用されていた。これを使用し、心拍・血圧・呼吸などの変化を検出して、その人が嘘をついているかどうか見抜く手がかりにする。

 ところが、こうした生理的反応は、訓練次第である程度コントロールできてしまう。

 そのため、従来の嘘発見器は、警察の捜査などで利用されることがありながらも、信頼性に乏しいことが欠点だった。

 本人の意思ではどうにもならない”何か”を検出する、より優れた嘘発見器が模索されているのはこうしたわけだ。

photo by iStock

心を裏切って嘘をつくと顔の筋肉がわずかに動く

 その”何か”が、嘘をついた人の顔に浮かぶ「嘘つきの表情」だ。

 たとえば、進化論の父チャールズ・ダーウィンは1872年にある心理学の実験に参加し、「意思では操れない顔の筋肉は、かすかで束の間だが、心を裏切ることがある」と記している。

 とはいっても、それが存在することと、それを実際に見抜くことではまるで話が違う。なにせ、そうした無意識のうちに現れる嘘つきの表情(顔の筋肉の動き)は、たった0.03~0.06秒で消えてしまうのだ。

photo by Pixabay

嘘をつくときの表情をAIで学習

 そこでイスラエル、テルアビブ大学の研究グループは、人間ではなかなか見抜けない嘘つきの表情を、AIでとらえようと試みた。

 研究ではまず、「嘘つきゲーム」が催された。

 参加者はペアを組み、パートナーと向かい合って座る。ペアの1人はヘッドホンを装着。そこから言葉が聞こえてきたら、そのまま口にするか(真実)、別の言葉を口にする(嘘)。

 そして、もう1人の参加者は、パートナーが口にした言葉がヘッドホンから流れた言葉なのかどうか、相手の表情や雰囲気から当てる。

 もちろん、これは嘘発見器を開発するための実験だ。だから、ゲームの様子は記録・分析されていた。

 騙す側は、ヘッドホンだけでなく、顔に電極も装着。これは筋肉の電気活動から、微妙な表情の変化を計測するためのものだ。さらにカメラでも表情を撮影。

 AIはこの2つのデータを与えられ、嘘つきの表情を学習した。

photo by iStock

AIは高確率で嘘を見抜けるように

 この結果、AIは平均73%の確率で、人間の嘘を見抜けるようになったという。これは、嘘つきゲームで人間がパートナーの嘘を見抜く確率よりも高い。

 またこの研究では、面白いことが明らかになっている。嘘つきの表情にはどうやら2種類あるらしいのだ。

 嘘をついたとき、眉毛の間にある「皺眉筋」を動かす人と、頬の「大頬骨筋」を動かす人とにわかれるのだ。

 ただし、こうした筋肉の動きは常に一定ではなく、しばらくすると変化するようだ。また人間を騙すのが上手い人は、AIをもまた見事に騙すことができたという。

今後の課題

 AIが現実世界で嘘を見破るのは、こうした実験よりもさらに難しいと予測される。

 何かを隠そうとする人間は、真実と嘘をないまぜにして複雑な内容を語るものだ。また曖昧な言葉で誤魔化したり、話を逸らしたりと騙す方法はいくつもある。

 さらに嘘を真実と思い込んでいたり、嘘をつくことに全く罪悪感を持たないタイプも存在する。

 したがって、今回のようなAIを使った嘘発見器が実用レベルに到達するかどうかは、まだわからないが、全ての嘘を見抜くことが果たして良いことなのか?

 嘘の中には人を傷つけないため、喜ばせるためにつく「やさしい嘘」も存在する。その嘘まで暴かれてしまったら、悲しい世の中になりはしないだろうか。

References:Lie to my face: An electromyography approach to the study of deceptive behavior – Shuster – – Brain and Behavior – Wiley Online Library / written by hiroching / edited by parumo

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