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神話から黒人差別まで、子供向けとは思えない、ファンタジー小説!

ホンシェルジュ

『オリシャ戦記 血と骨の子』は、ナイジェリア系アメリカ人作家トミ・アデイェミによる児童文学作品です。

差別や迫害、人間の持つ闇や醜さを生々しく描いた本作品は、児童文学というジャンルながら、大人が読んでも楽しめる深い奥行きを持っています。搾取される理不尽に抗い、尊厳の解放を求めて戦う少女の物語は、ドラマチックで思わず引き込まれる魅力を放っているのです。

『オリシャ戦記 血と骨の子』が面白い!児童向けファンタジーながら、重厚!【あらすじ】

魔法を扱える者・魔師と、魔力を持たない者・コスィダンが共存していたオリシャ王国。しかし11年前、国王・サランは魔法と魔師を憎み恐れ、彼らの力を奪って魔師をみな殺しにしてしまいました。

それ以来オリシャでは、魔師となる可能性を秘めた「ディヴィナ」と呼ばれる白髪の子供たちは皆、迫害を受けてきました。

ディヴィナの少女・ゼリィは、かつて魔師として殺された母の復讐を胸に秘め、過酷な現実を父、そして兄・ゼインとともに助け合いながら生きてきました。しかし王の娘・アマリと出会い、彼女を助けた事で彼女の運命はさらに過酷なものとなっていくのです。
 

魔師に魔法の力を取り戻す巻物の存在。そしてそれを父王から奪い取って逃れてきた王女・アマリ。巻物に触れ、魔法を得たゼリィは仇の子であるアマリに反感を抱きつつも、彼女と行動をともにします……。

妹を追う兄王子・イナンは、魔法は悪で王国の敵だという父の言葉を盲信しており、アマリを救い、彼女をたぶらかしたディヴィナ、ゼリィを殺そうと迫ります。

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巻物の秘密を知るため、伝説の神殿を探して旅立つゼリィたち。その旅路は、虐げられた魔師たちにもたらされた最後の希望、魔法の復活を賭けた戦いへと続いていくのでした。オリシャ王国を舞台に、失われた魔法を取り戻すための過酷な冒険の旅が幕を開けます。

著者トミ アデイェミ 出版日2019-05-20

2019年にアメリカのSFファンタジー作品を対象としたネビュラ賞のヤングアダルト部門、アンドレ・ノートン賞を受賞した本作品。2019年にはウォーターストーンズ児童文学ヤングアダルト部門を受賞するなど多数の賞を受け、20世紀フォックスが映画化権を獲得しました。

買収によって20世紀フォックスが消滅したその後は、ルーカスフィルムが映画化権の獲得に意欲を見せているとの情報もあり、映像化についてもまだまだ希望が持てる注目の作品です。3部作完結を予定しているという本作。今回ご紹介するのはその第1巻で、2019年の12月には原書第2巻が刊行の予定とされています。

西アフリカ神話をベースに作り込まれた神々、ナイジェリアのヨルバ族の言語、ヨルバ語を使った魔師の呪文。その深い世界設定はファンタジー好きの心をくすぐります。

そして描かれる差別、権力者による圧政と迫害とに抗うマイノリティの戦い……。テーマの重さに、これは本当に児童文学だろうかと驚きを隠せません。

思わず大人も引き込まれてしまうほど重厚な物語は、スピーディでドラマチックな展開が、重みのあるテーマをぐいぐいと引っ張って読み進められる構成になっています。1巻ラストの展開も衝撃的で続刊が待ち遠しく、長く楽しめる予感が持てる作品です。

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