雷の原因となるのは、あられや氷の粒がぶつかることで作られる電気です。あられや氷の粒ができる雲の高さは、気温が高い夏には高く、気温が低い冬には低くなります。
冬は雷雲の高度が低く地面に近いために、落雷が発生しやすくなります。場合によっては地面から数百mの高さで雷が発生することもあるのです。
また夏の雷は頻繁に放電してエネルギーが中和されますが、冬季雷は放電数が少ないことからエネルギーが蓄積されやすく、落雷が発生したときのエネルギーも大きくなります。
冬季雷が起こりやすい地域
冬季雷が起こりやすい地域は、山陰・北陸・東北の日本海側、瀬戸内海西部などです。
これらのエリアは、日本海側で発達した雷雲がダイレクトに流れ込むエリアになります。また瀬戸内西部に関しては、日本海で発生した雷雲がやってくるため、冬季雷の発生が多くなります。
冬季雷で気をつけること
冬季雷をもたらす雷雲は、以下のような筋状の雲になります。

(引用:気象庁-「観測画像の紹介」-「年末から年始にかけての大雪(2020年12月30日から2021年1月1日)http://www.data.jma.go.jp/sat_info/himawari/obsimg/image_wint.html)
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日本海側の雲には、ところどころに雲の隙間があるのが分かります。冬の雷雲は、雨や雪が降ったと思えば急に晴れてみたり、晴れたと思ったら急に雨や雪が降ってきたりするのが特徴です。
晴れていても油断は禁物で、暗い雲が近くに見えるなら落雷がいつ発生してもおかしくないと構える必要があります。
雷情報をチェックして備える
冬季雷に備えるためには、気象庁の「雷ナウキャスト」(https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/)を活用しましょう。
雷ナウキャストとは、雷の可能性を解析して1時間後までの予測を行うものです。10分ごとに情報提供されています。
雷ナウキャストでは、雷の状況が以下4つの活動度で色分けされています。

(引用-気象庁「雷ナウキャストとは」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder2-1.html)
ここで注意して欲しいのは、冬は雷の発生数自体は少ないため、活動度が3や4になりにくいことです。活動度が1や2でも油断せず、活動度1なら雷がいつ発生してもおかしくない状況、活動度2なら落雷被害に遭う可能性が高い、と考えて備える必要があります。
また、雷が発生する可能性がある場合は「雷注意報」が発表されます。天気予報が雨や雪マークになっていて、なおかつ雷注意報が発令されているときは屋内や車内で過ごすように心がけてください。
もし外出中、屋外にいるときに雷が発生しそうなときは
冬季雷は低い高度から落雷するため、周囲に構造物がないと自分が的になりやすくなります。できるだけ体勢を低くして、自分が的にならないように建物があるところに移動しましょう。
周囲に避難できる場所がない場合、「雷しゃがみ」と呼ばれる姿勢を取ります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
「知らないと危ない!雷の怖さと備えるポイント」
https://www.bosai-nippon.com/article/1543

冬季雷は増加傾向にあり
近年は冬季雷が増加傾向にあるといわれています。地球温暖化によって海水温や下層の気温が上がり、上空との温度差が大きくなって雷雲が発達しやすくなっているためです。
冬季雷の被害がさらに増えることも考えられるので、油断せず冬季雷に備えてください。
<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
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