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北島博士のおもしろ映画講座 第81回 人工知能=AIを搭載した人間型ロボットアイと高校生たちとの友情、絆を描くSFアニメーション『アイの歌声を聴かせて』

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『アイの歌声を聴かせて』

©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

 人工知能=AIを搭載した人間型ロボットアイと高校生たちとの友情、絆を描くSFアニメーション。監督は「イヴの時間」(2009)、「サカサマのパテマ」(2013)といった、ちょっと変わった設定のSF映画を作っている吉浦康裕。吉浦は脚本も大河内一楼と共同で執筆している。キャラクター原案は漫画家の紀伊カンナが担当。

 特に人間に似せて作ったロボットをアンドロイド、あるいはヒューマノイドと呼ぶが、僕のような年季の入ったSFファンにとっては、やっぱりロボットが一番しっくりくる。映画では「メトロポリス」(1926)のマリアから「スター・ウォーズ」(77)のC3PO、「ブレードランナー」(82)のレプリカント、「ターミネーター」(84)のT-800、「夏への扉 キミのいる未来へ」(2021)のピートと、数多くの人間型ロボットが登場。人間に敵対するタイプもあれば、人間を補佐するタイプもある。
 人間と見分けがつかないほど精巧なものは人間に不安感を与えるし、それがきっかけで人間の本質があぶりだされたりする。人工知能が発達すると人間の感情を理解できるようになるのか、あるいは論理でプログラムされたロボットが感情を持つことができるのか。実験体は科学者、製作会社の所有物か。ロボット映画はこうしたテーマを内包しており、純粋にアクション、ユーモアを楽しむだけでなく、見る者を考えさせられるジャンルでもある。

©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

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 星間研究所。AI研究で優れた業績を上げている美津子だったが、女性ゆえに男性上司の西城からは嫌われていて、なにかと嫌味を言われている。AIを搭載したロボットの最終チェックのため、正体を隠して人間の中に放り込み、それを一週間悟られないかという実証実験を行う。娘サトミの通う景部高等学校に入れたのだが、シオン(芦森詩音)と名乗る転校生は初対面のサトミに「私がサトミを幸せにしてあげる」と言い、突然歌を歌いだしたりして驚かせる。サトミの幼馴染でメカオタクのトウマ、イケメンのゴッちゃん、気の強いアヤ、本番に弱い柔道部員サンダーらがシオンと仲良くなり、高校生活を謳歌することになる。実験最終日に、美津子の実験が西城にばれ、研究所幹部に知られぬうちにシオンは廃棄処分にされることに。

©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

 サトミとシオンの関係にひねりがあって、題名が示すようにミュージカルでもあるし、高校青春もの、人間VSロボット、未来SFとさまざまな要素が盛り込まれている。幽閉され分解直前のシオンを研究所から奪還しようとする五人組と警備員との攻防戦をクライマックスにして、軽快なタッチで構成されている。
 シオンの声を土屋太鳳、サトミを福原遥が吹き替え、他に工藤阿須加、小松未可子、興津和幸、日野聡らが参加。

©吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

北島明弘
長崎県佐世保市生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻し、1974年から十五年間、映画雑誌「キネマ旬報」や映画書籍の編集に携わる。以後、さまざまな雑誌や書籍に執筆。
著書に「世界SF映画全史」(愛育社)、「世界ミステリー映画大全」(愛育社)、「アメリカ映画100年帝国」(近代映画社)、訳書に「フレッド・ジンネマン自伝」(キネマ旬報社)などがある。

『アイの歌声を聴かせて』予告編

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