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アメリカ初の女性スパイ、エージェント355の謎

カラパイア


 女性スパイとして世界的に有名なのは、フランスで活躍したオランダ人ダンサーのマリ・ハタだろう。

 第一次世界大戦時、男性を誘惑して国家機密をドイツに流し、フランス軍に捕らえられ、有罪判決を受けて処刑された。

 だが、本当に優れたスパイであるためには、その正体は決して世間に知られてはならない。

 アメリカ初の女性スパイと言われるコードネーム「エージェント355」は、アメリカの独立戦争以来、現在に至るまで、その素性を誰にも知られていないという。

アメリカ独立戦争時に活躍したとされる女性スパイ

 女性スパイ「エージェント355」に関する情報は闇に包まれており、彼女の本当の身元は不明だ。

 だが、伝えられている話によると、彼女は、アメリカの独立戦争で、植民地のために戦っていたはずが、のちにイギリス側に寝返ったアメリカの少将ベネディクト・アーノルドの裏切りを暴く重要な情報を中継したとされている。

 これが、共犯者である、米独立戦争時のイギリス諜報部の責任者、ジョン・アンドレ少佐の処刑という結果につながったとされている。

アンドレ少佐の処刑 / image credit:public domain/wikimedia

非の打ちどころのないスパイ活動を行っていたエージェント355

 自分の正体は決して明かさず、相手のスパイを暴くのは、優秀なスパイだけだと思われるが、2世紀以上たった現在なら、彼女が誰だったのか、その秘密を明かしても大丈夫だろう。いったい、彼女は誰だったのか?

 スパイ活動という点で、エージェント355は確かに非の打ちどころがない。独立戦争中に活動したスパイネットワーク、カルパー・リングのリーダー、エイブラハム・ウッドハルとジョージ・ワシントンの間で交わされた手紙の中でも、彼女のコードネームが直接出てきたのはたった一度だけだ。

 この組織は、秘密の暗号や見えないインクを使い、新聞に暗号化されたメッセージを掲載したりしていた。ウッドハルは、彼女のことを”この通信に大変役立った”と言っている。

1863年のハーパーズ・ウィークリー誌に掲載されたエージェント355の姿 / image credit:Harper’s Weekly

エージェント355が活躍していた当時の時代背景

 エージェント355は、いったいなにに忠誠を誓っていたのだろう?

 ここで、簡単に歴史的背景を説明しよう。18世紀半ば、アメリカの13の植民地は、イギリスに支配されることに嫌気がさしていた。

 つまり、母国で必要な税金を外国であるイギリスに払わなくてはならないことに不満がたまっていたのだ。第二次大陸会議のとき、ジョージ・ワシントンは大陸軍を創設し、ボストン攻略の監督を任命された。

 専門家は、高い地位にあったイギリス将校たちが、エージェント355の近くで部隊の配置などについて自由に話し合っていたと考えている。

 それは、彼女が女性だったため、その存在をそれほど重要視されていなかったせいだ。まるで、まるで透明人間のように思われていたわけだが、彼女はいつもその場所にいたのだろう。

 将軍ワシントンは、ベンジャミン・タルメッジ少佐とともに、スパイのネットワーク、カルパー・リングを設立した。

 この組織は、アメリカ側の本拠地であるニューヨークシティでのイギリス軍の動きを探り、提供することを任務とする。

 このメンバーがもっとも活躍したのは、1778年10月から、イギリスがニューヨークから撤退する1783年までだった。

 あくまでも正体を知られないことが優秀なスパイの条件だが、カルパー・リングの存在が1930年代になるまで世間に知られていなかったことも重要なことだ。

 つまり、カルパー・リングの愛国者スパイたちは、150年もの間、ほとんど世間に知られないほど、スパイ活動に長けていたということだからだ。

カルパー・リングのスパイが使っていたコード表

エージェント355の正体についての仮説

 カルパー・リングのメンバーの何人かの身元は割れているが、エージェント355の正体についてはまったくわからない。

 カルパー・リングが使っていた暗号システムから解読されたナンバー355は、”レディ”を意味することが判明しているだけだ。

 この革命に勝利をもたらした女性スパイは本当のところ誰だったのか、その候補として、アンナ・ストロングという女性が浮かび上がった。

 確証はないが、口伝によると、カルパー・リングのリーダー、エイブラハム・ウッドハルの隣人だったというアンナは、ロングアイランド海峡を密航していた捕鯨船の密使に、物干し竿に吊るした黒いペチコートを使って信号を送っていたという。

 さらにアンナは、ウッドハルがその密使に会うために、6つある入り江のうちどこに船をつけるかをハンカチを使って伝えたという。

 しかし、ほかの歴史家は、アンナ・ストロングがカルパー・リングのメンバーだった可能性は低いと見ている。

 人気テレビシリーズ『ターン:ワシントンのスパイたち』では、エージェント355は、アンナ・ストロングの元奴隷だったという仮説が示される。

TURN: Washington’s Spies | British Empire destroy American rebellion army

 もうひとりのエージェント355候補は、イギリスがフィラデルフィアを占領していた1777年、自身の家の中で秘密の集会を立ち聞きしたといわれるリディア・ダラーだ。

 彼女は、ワシントンに攻撃が差し迫っていることを警告したという。のちにワシントンにこの情報が伝わっていたことが明らかになると、英国諜報部チーフのジョン・アンドレ少佐が、漏洩の調査を行った。

 集会はリディアの夫が自宅で主催していたため、アンドレはリディアには疑いすら抱かなかった。女性は皆、夫と同じ政治観をもっているものだと信じ込み、よもや、リディアが漏洩の諜報人とは思わなかったのだ。

 リディアは、カルパー・リングの中でも、その正体がもっとも謎で、非常に献身的な工作員ロバート・タウンゼントの家族だった可能性がある。

 タウンゼントは自分の本名を、誰にも、ワシントンにすら言わなかった。

 1780年、ベネディクト・アーノルドがアメリカの愛国者を裏切ったとき、エージェント355は逮捕され、HMSジャージー号内に監禁された。

 そこで、彼女は男の子を生み、その後、船の中で死んだが、その子がロバート・タウンゼント・ジュニアだという説がある。だが、出生記録がないため、この手がかりに確証はない。

 アメリカ初の女性スパイ、エージェント355とは、いったい誰なのか? いまだに決定的なことはわからないが、たくさんの説が出ている。

 エイブラハム・ウッドハルは、ベンジャミン・タルメッジに対して、自分がニューヨークを再び訪れること、そして、知り合いの女性の助けをかりれば、全員を出し抜くことができるだろうというメッセージを書いている。

 2ヶ月もしないうちに、イギリス軍の本部レベルの詳しい情報が、ニューバーグにいるワシントンへともたらされた。エージェント355は、確かに全員を出し抜き、今も語る者の想像を刺激し続けている。

 「THE 355」は、ジェシカ・チャスティン、ペネロペ・クスル、ルピタ・ニョンゴが出演する、ユニバーサル・ピクチャーズ制作の女性が活躍するスパイ映画で、2022年に公開予定だ。

 異なる国際スパイ組織に所属する女性たちが、エージェント355に敬意を表して、コードネーム355というグループを作り活躍する話で、アメリカでは2022年1月7日公開だ。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で公開が1年のび太が、それだけにかなり注目が集まっている。これは私も要チェックな映画だな。

The 355 – Official Trailer 2

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