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エリザベス1世お抱えの占星術師が使用していた「霊視の鏡」はアステカ帝国から持ち込まれたものと判明

カラパイア


credit: S Campbell

 イングランド女王、エリザベス1世に仕えた占星術師で錬金術師、数学者でもあったジョン・ディーは、魔術師としてもその名を轟かせていた。

 彼は16世紀、黒曜石でつくられた、精霊を召喚するために「霊視の鏡(スピリット・ミラー)」を使用していたと言われている。

 この黒曜石の鏡はどこで作られたものなのか?今回の調査により、アステカ帝国で作られたものであることが判明したそうだ。

 ディーの霊視の鏡は、アステカ帝国からヨーロッパに持ち込まれたものである可能性が高いという。

エリザベス1世お抱えの占星術師

 ジョン・ディーは、1558年から70年代まで、イングランドの女王エリザベス1世に占星術師として仕えた人物だ。錬金術師で数学者でもあり、女王の様々な相談に乗っていた。

 英マンチェスター大学のスチュアート・キャンベル教授によると、ディーは航海や植民地を広げることを勧め、航海術の改善なども提言していたという。

匿名の芸術家による1594年頃のジョン・ディーの肖像画 / image credit:Ashmolean Museum, University of Oxford

ディーが所有していた「霊視の鏡」

 ディーはやがて、魔術やオカルトにも並々ならぬ関心を示すようになる。

 そんな彼の所持品には、大天使ウリエルから授かったとされる「紫の水晶」や「賢者の石」の作り方など、怪しげな品々もあった。

 そのうちの1つが、未来を覗けると伝えられる黒曜石でつくられた「霊視の鏡(スピリット・ミラー」だ。

 その鏡は現在、大英博物館に所蔵され、「ディー博士が精霊を召喚するために使った黒石」と紹介されている。

 両面がよく磨かれた黒曜石でつくられており、直径18.5センチ、厚さ13ミリ、重さ882グラム。ほぼ円形をしているが、上部には手で持つための柄らしき穴の開いた四角い突起がある。

ジョン・ディーの黒曜石の鏡 / image credit:S Campbell

アステカ帝国で産出された黒曜石であることが判明

 キャンベル教授らは、ディーの霊視の鏡にくわえ、関連する品(長方形の黒曜石製鏡1点、円形の鏡2点など)を蛍光X線分析装置で解析。特定された化学組成を、メキシコ各地で発掘された黒曜石のものと比較した。

 同教授によると、黒曜石は特定の火山でしか産出されず、ほとんどのケースでは、それぞれに固有の化学組成をしているのだという。そのため化学組成が一致すれば、産地も同じということになる。

 『Antiquity』(21年10月7日付)に掲載された結果によれば、悪魔の鏡と円形の鏡1点は、メキシコ、パチューカ地方のものによく一致することが判明した。ここはかつてアステカ帝国の黒曜石の産地だったところだ。

アステカのピラミッド / image credit:Pixabay

未来を覗ける鏡を、魔術に使用したディー

 アステカは、1428年頃から1521年までの約95年間北米のメキシコ中央部に栄えたメソアメリカ文明の国家である。

 アステカでは、黒曜石の鏡で「未来を覗き見ることができる」と考えられていた。また、この鏡は「テスカトリポカ」(ナワトル語で、”煙を吐く鏡”の意)という主要神と結びつけられていた。

 キャンベル教授によると、テスカトリポカの姿は、左足が切断されて描かれることが多いが、失われた左足の代わりに黒曜石の鏡を使っているのだという。

 そんな鏡は、「未来を覗ける」という言い伝えと一緒にヨーロッパに持ち込まれ、そこで「ディーが魔術に使った」という新しい伝説を獲得した。

 「鏡は今、オカルト的な遺物として大英博物館に所蔵されています。そこで独自の物語を得て、世界に独自の影響を与えています。だからこそ、とりわけ魅力的な品であると言えるでしょう」とキャンベル教授は語っている。

References:’Spirit mirror’ used by 16th-century occultist John Dee came from the Aztec Empire | Live Science / written by hiroching / edited by parumo

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