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X線技術で明らかとなったマリー・アントワネットの秘密のラブレター

カラパイア


 専門家チームが、マリー・アントワネットが、スウェーデン伯爵ハンス・アクセル・フォン・フェルセンに宛てた手紙をX線にかけた。

 アントワネットは言わずと知れたルイ16世の妃だが、伯爵と不倫関係にあったと言われている。

 今回、この新たな技法により、伏字で消されたアントワネットの手紙のもともとの文章を明らかにし、彼女がルイ16世紀を欺いて不倫をしているという噂も事実であったことが確認された。



「あなたなしではいられません」マリー・アントワネットの不倫相手への手紙

 問題のラブレターは、フランス革命のさなかの1791~92年にかけて、マリー・アントワネットとフェルセン伯の間で交わされたもの。

 新たなX線スキャン法によって、消されていた手紙の元の文章が復元・公開された。手紙を検閲・修正した検閲者が誰だったのかは、150年もの間、歴史家たちを悩ませてきた。

 だが、この新しいX線法で手紙を撮影し、インクの組成を分析した結果、議論の的になっていた消された部分を読み取ることができた。その部分に、”決定的な証拠が見つかった”というわけだ。

1792年1月4日付のアントワネットから伯爵に宛てた手紙のこの部分は、銅の元素マップから、「あなたなしではいられません」という意味の”non pas sans vous”という原文が書かれていたことが明らかになった。 / image credit:Anne Michelin / Science Advances

道ならぬ恋に落ちたマリー・アントワネット

 愛とは、皆がそれを夢見て、感じ、失うもの。愛とはなにかについて、実際にはよくわかっていない親たちは、つかみどころのない摩訶不思議な魔法の力というおとぎ話を無邪気に子どもたちに吹き込んだ。

 子どもたちがそうした愛の力を信じて、相手と末永く仲良く暮らし、子孫を残せるようにとの望みを託したのかもしれない。

 だが実際には、人が愛を実感するときは、ドーパミンやノルエピネフリン(ノルアドレナリン)という化学物質が大量に放出されている。

 こうした化学物質は、私たちに多幸感、エネルギー、創造力、時にめまいまで感じさせる。

 マリー・アントワネットの場合も、寝食もままならぬほど、恋にのめりこんで、至福の瞬間を味わったことだろう。

 だが、現代になってべつの化学物質によって、彼女が夫以外の男性に道ならぬ恋をしていた浮気な妻であったことが確実になってしまったのだ。

 パリのCentre de Recherche sur la Conservation (CRC)の研究チームは、マリー・アントワネットの手紙についての新たな論文を『Science Advances 』誌に発表した。

 彼女がフェルセン伯とやりとりした秘密のラブレターをスキャンし、伏字になっている箇所にオリジナルの手紙で使われているインクとは違うタイプのインクを識別した。

 ”最愛の人”、”狂おしいばかりに”、”崇拝”といった言葉が浮かび上がり、いかに恋人たちが夢中になっていたかがはっきりうかがえる。だが、手紙の大半は複製であることがわかった。

スウェーデン伯爵アクセル・フェルセンの肖像(カール・フレデリック・フォン・ブレダ作) / image credit:public domain/wikimedia

愛の手紙を修正したのは不倫相手のフェルセン伯自身だった

 この発見に使われた新たなX線撮影法は、蛍光分光法マイクロスキャニングというものだそうだ。この非破壊分析技術は、化学構造を詳しく調べることができる。

 研究チームリーダーのアン・ミシュランは、この技術を8通の手紙のうち、15ヶ所の修正部分に試してみたと語った。

 インクを構成する”銅から鉄と、亜鉛から鉄”の比率の違いをグラフ化して、もともとの原文を明らかにした。

 この8つの文章のうち、もっとも複雑に修正された部分に焦点を置き、多変量統計解析を行った。この統計の細分化は、複数の結果変数と分析を表わしている。

 今回のケースでは、ふたつの異なるインクを分析し、それぞれがどのように互いに関連しているかを識別した。

 その結果、アントワネットからのものと思われる手紙には同じインクが使われていて、同じインクで多くの伏字が行われていたことが判明した。

 つまり、この恋文の多くは、フェルセン伯自身が作ったコピーで、アントワネットからのオリジナルの手紙の内容を検閲・修正した張本人は彼だということがわかる。

 しかしなぜ、フェルセン伯はアントワネットからの恋文を修正するなどという妙なことをしたのだろうか?

ふたつの分析方法を組み合わせると、1791年10月13日付のフェルセン伯からアントワネット宛ての手紙から、”私の親愛なる友よ(ma tendre amie)”という文章が浮かび上がってきた / image credit:Anne Michelin / Science Advances

不貞の王妃の名誉を守ろうとしたのか?

 たとえ手紙を修正した人物がフェルセン伯だとわかったとしても、こうした検閲・修正が感傷的な理由でなされたのか、それとも、もっと大きな政治的戦略の一環だったのか、という疑問が残る。

 研究者たちは、論文の中で、伯爵は不貞をはたらいた王妃の名誉を守りたかったのではないかと推測している。

 しかし同時に、伯爵は自分自身の利害関係も守りたかったのかもしれないとも考えている。例えば、不倫が公になれば、文字通り自分の首が危ないことがわかっていたのかもしれない。

 現世に至っても注目を集め続けるマリー・アントワネット。

 「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」というフレーズで有名となったが、実際にはこれは彼女自身の言葉ではないことが判明している。

 最期はギロチンで処刑されたが、彼女の愛は、例え業火に焼かれても消えることはなかったのかもしれない。

References:2D macro-XRF to reveal redacted sections of French queen Marie-Antoinette secret correspondence with Swedish count Axel von Fersen / X-ray Reveals Someone Censored Marie Antoinette’s Letters | Ancient Origins / written by konohazuku / edited by parumo

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