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ナチス・ドイツが燃やしたクリムトの絵をAI(人工知能)で復元

カラパイア


image credit:Google Blog

 19世紀末から20世紀後半にかけて活躍したウィーン最大の象徴主義の画家、グスタフ・クリムトの素晴らしい作品の20%は、歴史の中で失われていった。

 中でも、最も顕著で痛ましい損失は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツにより焼失されたという「医学」「法学」「哲学」というテーマで描いたウィーン大学講堂の天井画だ。

 このほど、Google Arts & Cultureは、オーストリアの美術館と協力し、AI(人工知能)を使用して失われたこの3点の作品の再現に成功した。

クリムトの手掛けたウィーン大学講堂の天井画「医学」「哲学」「法学」

 クリムトは1894年、文部大臣から、ウィーン大学の新しい大講堂の天井に『ファカルティ・ペインティング(学部絵画)』と呼ばれる「医学」「哲学」「法学」の各学部をテーマとする3作品を依頼された。

 その2年後に提出した下絵が激しい議論を巻き起こす。当時、自分ならではの「新しい表現」を求めるようになっていたクリムトは、女性の裸体などのの露骨な表現で描かれており、大学側は、オーストリアの狭心を批判した退廃的な作品に仕上げたとして論争が起こり、最終的にクリムトは契約を破棄して報酬金を返還した。

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ナチスに没収され消失

 その後、この3作品は第二次世界大戦でナチスにより没収され、数えきれないほど重要な芸術作品が収められていたオーストリアの城が燃やされた。

 これにより、クリムトの3作品は焼失。現在に至るまで、1900年代初頭に撮影された白黒の全体写真が残されているだけだった。

 そこで、今回Google Arts & Cultureは、AIを使ってクリムトの失われた3作品を再現するプロジェクトを発足。

 クリムトの折衷的な作品と生活に焦点を当てた新しいオンライン回顧展「クリムトvsクリムト」の一部として、展示されることになった。

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70年ぶりにクリムトの学部絵画がAIで再現可能に

 Google Arts & Cultureチームは、オーストリア・ウィーンのベルヴェデーレ美術館と共同で、機械学習技術を使用して、絵画がどのように色付けして再現されるか試みた。

 まず、AIには91749点の芸術作品を提供することで、絵画の基本概念を理解するためのアルゴリズムを教え、次にクリムトの芸術的スタイルを解釈し、模倣させた。

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 チーム一同は、作品の色についての手がかりを抽出するため、ファカルティ・ペインティングを参照するニュース記事や手紙、展示カタログなどあらゆる情報をAIに提供。

 更に、これを生存している絵画からの推論と組み合わせて、失われた芸術作品に命を吹き込む作業に最善を尽くした。

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 そして、70年ぶりにクリムトが使ったかもしれない色で、作品を再現することに成功した。

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 ベルヴェデーレ美術館の学芸員フランツ・スモーラ博士は、このように述べている。
AIは、クリムトが特定の色を使用していたことを十分に想定し、知識がなくても色付けに成功し、驚きの結果をもたらしました。


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 なお、Google Arts&Cultureやベルヴェデーレ美術館、クリムト財団など30を超える機関とのコラボレーションで可能になったクリムトのオンライン回顧展では、120点以上の有名な傑作やあまり知られていない作品が、専門的に厳選されたセレクションで集められている。

 モバイルでは拡張現実、またはウェブ上では3Dで楽しめるという。

written by Scarlet / edited by parumo

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