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三葉虫に新たなる発見!複眼の中に複眼がある、3億9000万年前の個体が発見される

カラパイア


 今から約50年前、ドイツの化石マニアが仰天の発見をした。3億9000万年前の三葉虫の化石に視神経が残されていたというのだ。

 この説は、当時の常識に反していたために、ほとんど無視されてしまったが、最近、先端技術で化石を再度検査したところ、その説が正しかったことがわかった。

 しかもそれだけではない。その三葉虫が複眼の中に複眼を持つ「ハイパーアイ」の持ち主であることまで判明したのだ。

3億9000万年前の三葉虫の化石から視神経を発見か?

 2度の大量絶滅をなんとか生き延びたものの、3度目のペルム紀に絶滅してしまった古生代を代表する海生の節足動物「三葉虫」は、現在も多くの化石が残されている。

 それは1970年代のこと、ドイツの化石マニアであるヴィルヘルム・シュテュルマー氏による三葉虫の研究が、専門家たちの間で物議を醸したことがある。

 シュテュルマー氏はドイツ、シーメンス社の放射線部門の責任者で、ミニバンにX線装置を搭載して、発掘現場に出かけるほどの大の化石好きだった。

 職業柄、彼はX線について誰よりも熟知していたが、あいにく化石の専門家ではなかった。そのため、「3億9000万年前の三葉虫の化石から視神経を発見した」という彼の主張を真面目に受け止める学者はほとんどいなかった。

 当時の常識では、化石に残されるのは歯や骨などの硬い部分だけで、腸や神経のような柔らかい部分が残るとは考えられていなかったのだ。

 くわえてシュテュルマーは、「個眼」という光受容細胞に恐ろしいほどよく似た”繊維”まで見つけていた。それは奇妙なほど細長く、それ自身の直径の25倍も長かった。常識的には光を集める構造としてはありえない長さだった。

デボン紀の三葉虫、ファコプス・ジーソプス(Phacops geesops)の化石 / image credit:Brigitte Schoenemann

複眼の中に複眼、三葉虫はハイパーアイの持ち主だった

 だが現在では、常識もずいぶんと変わった。化石に軟組織の痕跡が残っていたとしても、学者は驚かないし、水生節足動物の複眼からやたらと長い個眼が発見されたこともある。

 そこで独ケルン大学をはじめとするグループは、シュテュルマー氏が調べた化石を最新の技術でもう一度調べ直してみることにした。

 その結果、その化石で発見された繊維がほぼ間違いなく「視神経繊維」であることを確認したと、『Scientific Reports』(21年9月30日付)で報告している。

 だがもっと興味深かったのは、視神経がつながっていた先だ。

 シュテュルマーが調べた化石は、「ファコプス・ジーソプス(Phacops geesops)」という三葉虫の仲間だ。

 ファコプスの頭部には、目が左右に1対ずつある。それは最大1mmのレンズ200個で形成された「複眼」だ。

 だが驚くべきことに、各レンズの下には少なくとも6個の「個眼」があり、小さな複眼になっていた。つまり1つの目の中に200個の複眼が存在していたのだ。

三葉虫のハイパーアイの構造 / image credit:Schoenemann et al ., doi: 10.1038/s41598-021-98740-z.

隙間のある複眼

 三葉虫ならば複眼をもっているが、「ファコピナ亜目」(ファコプスはこれに属する)のそれはとりわけ変わっているという。

 通常、複眼のレンズは隙間なくびっしりと並んでいる。ところがファコピナ亜目の場合、レンズとレンズの間に隙間があるのだ。

 こうした複眼は、光が乏しい環境や、広範囲で光が急激に変化する状況に対応するうえで有利だと推測されている。他にもコントラストを強調したり、さまざまな色を認識するという機能も考えられるようだ。

ファコピナ亜目三葉虫の視覚単位の構造 / image credit:Schoenemann et al ., doi: 10.1038/s41598-021-98740-z.

 なおシュテュルマー氏は残念ながら、彼の発見が正当に評価されるのを待つことなく、1980年代に亡くなっている。

References:This 390-Million-Year-Old Trilobite Fossil Had a Bunch of Tiny Eyes Inside Its Eyes / written by hiroching / edited by parumo

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