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池井戸潤最新作!『民王 シベリアの陰謀』の舞台は、パラレルワールドの日本? ウイルス禍と陰謀論の正体を見つめて《インタビュー》

ダ・ヴィンチNEWS

事実は小説より奇なり―そんなことわざが現実になった感のある現在。2020年春先からの新型コロナウイルス感染症拡大により、私たちの日常は大きく揺さぶられ続けている。

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(取材・文=大谷道子 撮影=小嶋淑子)

 ときには現実の出来事が虚構を凌駕するような日々を送る中、小説家はどうやってフィクションを書き続けるのだろう? 代表作の「半沢直樹」シリーズ、「下町ロケット」シリーズをはじめ、現実社会に根ざした作品を数多く世に送り出してきた作家・池井戸潤さんにそうたずねると、「本当にね」と苦笑いが返ってきた。

「毎日、新聞を読んだりテレビを見たりしていると、『これはなぜだろう』と疑問に感じることは多々ある。そういうところから小説のテーマを発見したりするんですが、何でもかんでも小説になるわけではありません。僕の場合はまず、そのテーマが新しいかどうか、僕が書く意味、つまりはオリジナリティがあるかどうか、そして豊かな物語になりうるテーマかどうか。この3つの条件が揃えば、挑戦してみようかという気持ちになります。でも最近は、新聞を読んでもテレビを見ても、頭にくるニュースばかりだから」

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 ならばいっそ、その世界とがっぷり四つに組んで―と思われたのかどうか、新作はずばり、未知の感染症に翻弄される日本が舞台である。

 しかも、あの『民王』の続編だ。国会答弁で漢字が読めず頓珍漢な答弁を繰り広げた強面の総理大臣・武藤泰山と、その不肖の息子・翔が抱える秘密を巡るコメディ・サスペンスの刊行から11年、次なる騒動は、何とか首のつながった泰山総理の第二次内閣組閣から始まる。

 目玉人事として抜擢した女性閣僚が、就任パーティの席上で突如暴れ出し、その原因が未知の病原体であったと判明するパンデミック・サスペンスで描かれる世界は、まさに現代日本のパラレルワールドである。

不機嫌を取り去るには笑いの力が必要だ

「もともとの発想は、“ウイルス”“温暖化”“陰謀論”の三題噺だったんです。ウイルスは、もちろん新型コロナ。温暖化にも僕は以前から関心を持っていて、従来のCO2濃度上昇原因説などに疑義を呈した『「地球温暖化」の不都合な真実』(マーク・モラノ 日本評論社)を読んで興味深いなと思っていました」

 そして、小説を書く決定的な動機となったのが、陰謀論の興隆。アメリカのトランプ政権末期に沸騰した極右的主張「Qアノン」が記憶に新しいが、現在もウイルスの出所やワクチン効果の真偽などを巡りさまざまな説がSNS上で飛び交っている。

「最初は『遊びでやっているんだろう』くらいに思っていたんですが、今年のはじめに起こった連邦議会議事堂襲撃事件には衝撃を受けました。彼らはどうやら本気で信じているらしい、でもなぜ信じられるのか? と。陰謀論のもっとも不思議なところは、前提を疑わないこと。たとえばこの間、CS放送で宇宙人にまつわる学説を取り上げたシリーズ番組を観たんですが、そもそも宇宙人はいたのかという疑問は無視し、あくまで“いるもの”として展開していくんです。陰謀論も、最初から陰謀を“あるもの”としている。だから、得体の知れないものとして僕には映る。しかも、それなりの社会的地位を持っていて、金銭的にも満たされていそうな人たちまでが、平気でそういう発信をしていることが」

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