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獄中にいる間もチョコを絵具に変え、絵を描き続けた、ホームレス画家の運命が変わるまでの物語

カラパイア

ホームレス画家の運命が変わるまでの物語
 2021年4月4日、62歳のリチャード・ハッチンズは、ロスのスーパーマーケット、ラルフスの駐車場に一台の青いバンが入ってくるのを見ていた。

 ハッチンズがホームレスになって6年がたっていた。だが、この青いバンが自分の人生を変えようとしているとは思いもしなかった。

子供のころからアートへの情熱を燃やしていた男性

 ジョージア州にいた6歳の時、両親が離婚し、児童養護施設で育ったリチャード・ハッチンズは放課後に畑仕事を手伝っていた。

 手先が器用だったため、弁当の茶色い紙袋と焚火で燃え残った小枝をうまく使って、炭の棒人形を作ったりした。

 そこから彼のアートへの情熱はどんどん高まり、わずか15歳のときに、自分の作品を売って1500ドルも儲けた。ハッチンズにとって、アートは自身の一部だ。「絵を描くとき、自分の命を吹き込んでいる」と語っている。
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投獄されている間も、絵を描くのを止めなかったハッチンズ

 だが、その未来あるキャリアは、ハッチンズがロサンゼルス郡立刑務所に投獄されるという不運にみまわれたとき、突然断ち切られた。

 ハッチンズは以前から家族のことが嫌いで、本名を名乗らず、他人の名を使っていた。それが原因で逮捕されてしまったのだ。

 のちに冤罪だったことがわかって釈放されたが、当時、一日22時間も独房の中に閉じこめられていた。それでもなお、彼は作品を生み出さずにはいられなかった。

 友人たちに書いた手紙の封筒に鉛筆で絵を描いた。本物の絵の具は手に入れることはできなかったが、ある日、偶然に発見した”染料”で作品にまた色をつけることができるようになった。

 独房でベッドの上に座っていたとき、ハッチンズはスキットルズやM&Mのチョコが水に濡れて溶け、まわりに色をつけていることに気がついたのだ。

 自分の顎髭の毛を切って、溶けた”染料”に浸し、新たな”絵の具”として利用し始めた。それからというもの、コーヒーや歯磨き、トイレットペーパーなど、手に入るものはなんでも絵を描く道具として利用した。

 最初は試行錯誤だった。毎週、友人など住所のわかる人たち宛てに15~20通の封筒を送り、その封筒の下に刑務所での日々を絵に描いた。

 ハッチンズは刑務所にいた間、およそ200通もの封筒に絵を描き獄中から郵送していた。
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出所後アート活動を開始するも火事で作品が焼失しホームレスへ

 出所後、念願のアート活動を再会したハッチンズ。今度は偽名を使わず、自分自身の名前で活動を開始した。

 ようやく運気が上向きかけていたその矢先、アートスタジオが火事で全焼し、これまで描いてい800点も失われてしまい、すぐにホームレスになった。

 コロナパンデミックの間はLAのホームレス用シェルターに住んでいて、2021年、ホームレス歴は6年になった。
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2021年4月4日、運命が変わる瞬間

 そんなハッチンズの運命を変えたのは、ラッパー、2チェインズの元マネージャー、チャーリー・”ロケット”・ジャバレイだった。

 チャーリーはいつも行くスーパーが珍しく閉まっていたため、ブルーのバンに乗り、「ラルフス」に行ったところ、カートの上で楽しそうに座っていたハッチンズと偶然出会い、意気投合した。

 チャーリーはハッチンズに電話番号を渡して翌日、電話するよう言った。

 翌日、電話に出たチャーリーは、すぐにハッチンズを買い物に連れて行き、絵を描くための道具を買ってくれた。

 キャンバスや絵の具、絵筆など、絵を描くのに必要なものを、2000ドル分も払ってくれたのだ。

Artist Richard Hutchins Went From Being Homeless to Selling Art to Oprah

 さらにチャーリーは、ハッチンズの絵を売るためのサイトをオープンさせてくれた。

 幸いなことに、ハッチンズの親友キース・ポークが、封筒を含めた彼の作品を長年保管していて、サイトを立ち上げた最初の10分間で、1万2554ドルも稼ぐことができた。

 それ以来、ハッチンズは自分の作品を売って25万ドルも稼ぐことができた。購入者には2チェインズやテレビ司会者スティーヴ・ハーヴェイ、そしてあのオプラ・ウィンフリーもいた。

 しかし、立役者であるチャーリーは、こんな驚くようなサクセスストーリーに対して、この金額はあくまでも、ハッチンズがアーティストとして尊敬された結果だと人々に思ってもらいたいと語る。

Artist Experiencing Homelessness Made Thousands With Help From TikTok

 実はチャーリーは、人々の夢を叶えるためのプロジェクトを発足させており、ハッチンズの「美術館に自分の絵が飾られているところを見たい」、「自分の作品で人々を喜ばせたい」という夢を叶えるために尽力してくれたのだ。

 ラルフスでのこの偶然の出会いが、のちにビバリーヒルズにあるソフィテルギャラリーの壁にハッチンズの作品が飾られることにつながった。

 その夜、ハッチンズがギャラリーに到着すると、500人もの人々が待ち受けていて、歓声をあげて彼の写真を撮りまくった。
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なるべくしてホームレスになったわけではない人々に気が付いてほしい

 ハッチンズは、自分の仕事がほかの人の人生を変えると考えていて、これからやりたいことを少し感情的になって語った。

 「路上では、そんなところにいるべきではない多くの人たちが傷つき、死んでいきます。とくに、女性や子どもたちが」

 LAでの格差問題はよく知られているが、状況は悪くなる一方だ。現在、この州では、6万3706人の人々がホームレスを体験している。

 ロスのドヤ街エリアは、ずっとマスコミの注目を集めてきたのに、なぜいまだに、苦しんでいるこうした人たちが政府から捨て置かれているのか理解できないとハッチンズは言う。

 だが、彼は諦めるつもりはないと心を決めている。いずれ誰かがこの状況にメスを入れてくれるだろうから、アピールしていく努力は決してやめないという。

A Life Changing Red Carpet Art Show For Homeless Artist | DREAMR

今度は他の人の夢をかなえる番

 「自分の夢はすべてかなった。だから今度は、すべての人の夢をかなえてあげたい」ハッチンズは言う。

 ハッチンズは自分の使命は、他の人を助けることだと考えている。「やらなければならないたくさんのことをわたしがリードしていかなくてはなりません。そのために自分のアートを活用するのです」

 ハッチンズは、ロスのホームレスたちのために、真の変革を起こしたいと考えている。ホワイトハウスに目を向けさせようとしていて、母親の名をつけた「ジェス・ハッチンズ財団」の設立を目指して、フィナンシャル・アドバイザーと交渉している。

「やり遂げてみせるつもりです。期待に応えられるようがんばります」

 ハッチンズの作品は公式サイト「Richard Hutchins’ Artwork」で見ることも購入することもできる。

References:Richard Hutchins Studio / written by konohazuku / edited by parumo

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