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大量生産された同じ顔のヒューマノイドは人間に不快感をもたらす可能性。クローン減価効果を確認

カラパイア

大量生産された同じ顔のヒューマノイドは人間に不快感をもたらす可能性
 このままロボット工学とAIの技術が進歩し続ければ、きっといつの日か人間そっくりのロボットが普通に街を歩いている時代がやってくるに違いない。

 そうしたヒューマノイドたちは大量生産される。だから、おそらくは街中でまったく同じ顔や体型と何度もすれ違うことになるだろう。

 中途半端に人間に似せられたロボットには、どこか不気味な雰囲気が漂う。これを「不気味の谷」というが、仮に不気味の谷を乗り越えたヒューマノイドが完全に複製された、まったく同じ顔が、ずらりと並ぶ光景を目にしたら?

 九州大学、立命館大学、関西大学のグループは、実際に私たちがそれを目にしたときにどのような反応を示すのか実験し、『PLOS ONE』(21年7月13日付)で発表している。やはり完全に複製されたクローンの顔は不気味さを感じさせるようで、「クローン切り下げ」現象が発生するという。

同じ顔がいくつも並ぶと不気味に見える「クローン減価効果」

 九州大学の米満文哉氏らが行ったのは、次のような実験だ。

 まずはフォトショップで日常的な風景の中に「まったく同じ顔の人物が6人写っている画像」「6人それぞれの顔が違う写真」「1人しか写っていない画像」を用意。

 これを参加者に見てもらい、そこから感じられる「不気味さ」や「あり得なさ」といったことを評価してもらう。

 この実験からまず明らかになったのは、まったく同じ顔をした人物たちが並ぶ姿は不気味で、あり得ないと感じられるということだ。

 研究グループは、これを「クローン減価効果」と呼んでいる。
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photo by iStock

クローンが4体以上でMAXに。動物や二次元創作物には感じない

 研究ではさらに、条件を変えつつ似たような実験を行い、同じ顔によって不気味なオーラが漂うようになる要因を探っている。

 それによると、同じ顔の人間が増えるほどに不気味さは増していくようだ。ただし、クローン減価効果は4人になった時点で最高になり、それ以上人数が増えても不気味な印象はさほど変化しなくなる。

 また犬のようにそもそも区別しにくい顔の場合、まったく同じ顔が並べられても特に不気味とは評価されなかった。

 さらに漫画やアニメキャラのように現実感の乏しいものである場合も、クローン減価効果はそれほど現れないという。
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photo by Pixabay

なぜ複製された人間の顔に不気味さを感じるのか?

 どうやら、不気味さを感じさせるのは、単純に顔の作りではなく、その人の性格や個性といったアイデンティティを表すものがクローン化された場合であるようだ。

 たとえば、同じ顔の人たちが「じつは五つ子です」といった具合に説明しておくと、ネガティブな評価が緩和される。

 だが人間らしさが欠けている場合には、動物的な嫌悪感を感じさせ、あり得ないという印象につながる。それが見る者に不審や不気味といった感覚を抱かせ、クローン減価効果となる。
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photo by iStock

複製されたヒューマノイドは顔とアイデンティティの結びつきを壊す

 こうした結果は、人の顔が個人を識別するために大切な役割を果たしていることを示している。ある人のアイデンティティと顔は一対一で結びついている。ところがクローン顔はこれに反しているのである。

 面白いことに、私たちはただの無機物に人間らしさを感じることがある(たとえばパレイドリア効果)。だが複製された顔が並ぶと、人間そのものの姿であってもヒトらしさが損なわれる。

 ヒューマノイドから不気味なオーラを漂わせる原因は、不気味の谷以外にもあるあり、それを乗り越えた先にも困難が待ち受けているということだ。

 ヒューマノイドや人間のクローンといった新技術を導入する際には、そうした点も考慮する必要があるとのことだ。

Top image:iStock / References:Unease beyond the uncanny valley: How people react to the same faces: Researchers examined people’s emotional response to cloned faces, which could soon become the norm in robotics — ScienceDaily / written by hiroching / edited by parumo

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