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「嘘をつきたくない」がきっかけ。女子サッカー選手のSDGsアクション

パラサポWEB

SNSなどが発達して誰もが自分の意見を気軽に発信できるようになった現代。時にはその発言が社会を変える大きなうねりとなることも。一方で、発言が自分の意図とはかけ離れた捉えられ方をして、炎上してしまうといったリスクもある。テニスの大坂なおみ選手が政治的な発言をして賛否両論を呼んだことも記憶に新しい。そこで今回は、SNSで自ら同性のパートナーがいることを発信した、女子サッカー選手・下山田志帆さんに、社会を変えるアクションの価値について、お話を伺った。

始まりは「嘘をついて生きていきたくない」という心の叫び

現在、スフィーダ世田谷に所属する女子サッカー選手の下山田志帆さんは、2019年の2月、SNSに「女子サッカー選手やってます。そして、彼女がいます」と投稿。その“カミングアウト”が、世界でも遅れをとっている日本のLGBTQをめぐる問題に一石を投じ、さまざまなメディアで取り上げられてきた。しかしカミングアウトのきっかけは社会を変えたいなどといった大きな目的のためではなかったと言う。

「カミングアウトした理由は、ドイツのチーム(ドイツ女子2部リーグSVメッペン)に所属していたことが影響しています。そこはLGBTQであることが特別ではなくて、当たり前の世界でした。その後日本に一時帰国した時に、今まで溜め込んできたモヤモヤが爆発したのが、あのタイミングだったんです。自分が嘘をついていること、そしてこれからも嘘をついたまま生きていくことが、耐えられなくなったからです」

とはいえ、カミングアウトするまでは、友達に嫌われるのではないか、チームメイトにパスを回してもらえなくなるのではないか、両親に縁を切られるのではないかなど、ネガティブなことを考えて悩んだこともあるという。

「でも結果的には、よくも悪くも何も変わりませんでした。私がカミングアウトしても、今まで積み上げてきた人間関係は変わらないということに気づけたことは、めちゃくちゃ良かったですし嬉しかったですね」

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下山田さんが懸念していたようなネガティブな状況にはならなかった。しかし、日本ではまだまだLGBTQに関する理解は低く、世の中には以前の下山田さんと同じような悩みを抱えている人が今もたくさんいる。そんな現状を知った下山田さんはサッカー選手としての活動と並行して、LGBTQをめぐる問題に関する発言をSNS上で発信し続け、メディアのインタビューにも積極的に応じるようになった。

社会的アクションを起こす、世界のアスリートたち。日本は?

2020年の全米オープン、人種差別による暴力で亡くなった黒人の名が書かれたマスクをして試合に挑む大坂なおみ選手 photo by Getty Images Sport

近年、下山田さんのようにアスリートが社会問題に関する発言をしたり、アクションを起こしたりすることが話題になっている。たとえば2020年8月、全米オープンテニス前哨戦の準決勝に出場予定だった大坂なおみ選手は、黒人差別の抗議活動の一環として出場を辞退(その後、大会側が試合を延期して試合は行われた)。さらに翌9月の全米オープンテニスで大坂選手は、人種差別や警察の暴力を受け亡くなった7人の黒人の名前が書かれたマスクをつけて試合に出場した。

また、サッカー界では、FIFA女子最優秀選手賞を受賞したアメリカのミーガン・ラピノー選手が2016年に試合前の国歌斉唱を拒否。これは人種の不平等や少数派への抑圧に対する抗議だった。LGBTQであることをオープンにしているラピノー選手は、この他にも多様性を認めることの大切さを訴えたり、サッカーにおける男女の賃金格差の是正を求める訴訟を起こしたりと、社会を変える活動を積極的に行っている。

こうした世界のアスリートの動きを下山田さんはどう捉えているのだろうか。

「ラピノー選手は同じサッカー選手としても単純にかっこいいなと思いました。ただ、これは私の想像ですが、アメリカには、制度であったり、周囲の人々の理解だったり、サッカー界の状況といった、あのかっこ良さを支えているものが沢山あると思うんです。残念ながら日本には、そうしたアスリートの言動をサポートしたり賞賛したりする土壌がまだまだできていないと感じます」

下山田さんが言う通り、日本ではスポーツ選手が政治的な発言をしたり、社会問題に関して私見を述べたりすると「そんな暇があったら練習しろ」「スポーツ選手はスポーツだけやっていればいい」といったネガティブな反応が多い。そうした日本の状況を変えるにはどうしたらいいのか?

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