top_line

【 最新ニュースをアプリでサクサク読むなら! 】

「私はホケイチの女」いや違う、水泳のレジェンド成田真由美が最終レースで見せた意地

パラサポWEB

偉大な挑戦の終わりに、レジェンドが意地を見せた。

水泳成田真由美は8月30日、東京2020パラリンピックの水泳・女子50m背泳ぎ(運動機能障がい/S5)決勝を47秒86で泳ぎ、6位入賞を果たした。レース後、「本当に今は泳ぎ切って、幸せな気持ちです」と万感の思いを口にした51歳のレジェンドは、今大会を最後にパラリンピックへの挑戦を終える意向を表明している。1996年アトランタ大会以降、金メダル15個を含む通算20個のメダルを獲得した正真正銘のトップアスリート。6度目のパラリンピックを泳いだ成田の胸中にあるものは――。

開き直る自分が許せない

本人は年齢を気にしていないと言うものの、そのキャリアには紆余曲折ある。2008年に一度は第一線を退いた身。2013年に東京パラリンピックの開催が決まってから現役に復帰し、前回の2016年リオ大会にも出場したが、メダル争いには食い込めなかった。今大会では、ここまで3種目に出場して結果はいずれも予選9位。8人が出場できる決勝に、あと一歩届かずにいた。

この日の50m背泳ぎが、エントリーしている最後の種目だ。成田は「いつも補欠の1番。開き直って『ホケイチの女です』とか言っていた」と冗談めいて言うが、本音は違う。最後となるレースを前にして、若い頃と変わらぬ闘志をたぎらせながらこう明かした。

「そう言っている自分が許せなくて、50mの背泳ぎで決勝に残りたいって思っていた」

女子50m背泳ぎの予選レースを泳ぎ終えた成田真由美

この日、午前に行われた予選では、第1組で4位。別の組で泳いだイタリア人選手と49秒72で並んで全体8位タイとなり、一度はスイムオフによる決勝進出者決定戦が行われると発表された。しかし、日本がすぐにエントリーを表明したのに対し、イタリア側は参加の意思表示をせず、スイムオフは行われずに成田の決勝進出が決まった。

監督も驚き「最後の種目で、ドラマのよう」

広告の後にも続きます

決勝に残れたのはいいが、運に救われただけでは終われない。決勝では、レジェンドの生き様を映すかのような渾身の泳ぎを見せた。直線50mの勝負。中盤から2人の中国人選手の先を進み、予選よりも早い47秒86の6位でフィニッシュした。

「(予選の)8位よりタイムも順位も上げたいなと思っていたけど、タッチした瞬間、タイムを予選より上げられていて、『おっ、6位だ』と思って、それはすごく良かったなと思いました」

成田は、若い選手が決勝の舞台で日本記録や自己ベストを更新する姿を見て「私は……」という思いを持っていたという。大ベテランになっても、その競争心に陰りはない。運だけでなく強烈な意地とプライドで引き寄せた最終種目での決勝進出、そして6位入賞。日本代表を率いる上垣匠監督も称賛を惜しまなかった。

「最後の種目で、ドラマのよう。最後の最後に決勝に残って、さらに記録を伸ばしてきた。彼女が持っている大きな力が働いたのではないか。それを引き寄せたのは、日常の取り組み、姿勢、人柄が大きかったんだろうなと思います」

決勝のレースでスタートを切る成田真由美(写真手前)

海外のレジェンドもリスペクト

50m背泳ぎに決勝の舞台には、もう一人のレジェンド、45歳のテレサ・ペラレス(スペイン)もいた。パラリンピックに6大会連続で出場。パラリンピック通算7個の金メダルを獲得しているペラレスは、成田と泳いだこのレースで銀メダルを獲得し、通算獲得メダル数を27とした。この記録はオリンピック最多のメダルを獲得しているマイケル・フェルプス(アメリカ)の28個にも迫る。

  • 1
  • 2

TOPICS

ランキング(スポーツ)

ジャンル