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【防災の日企画】災害リスクが増加している日本の現状と対策/国土学総合研究所長:大石久和氏インタビュー

防災ニッポン

Q 9月1日は「防災の日」です。災害リスクが増加している日本の現状について、国土条件の観点からどう分析していますか。

A まず「我々日本人は、非常に厳しい条件の国土に住んでいる」という前提を国民全員が知る必要があります。日本の国土面積の約70%は山岳地帯です。これだけ山岳地帯の多い国は先進国の中でも日本以外にありません。かつてヨーロッパの大地では、氷河期が終了するときに軟弱な土砂は海に流れていきました。しかし、日本では山岳地帯に風化岩を残して氷河期が終了しました。そこに豪雨や地震が頻発するのです。他国と比較しても厳しい国土である上に、気象が異常に荒れてきている現状への対策を考えるべきです。

Q 防災の観点から、街づくりは今後どのように変化していく必要がありますか。

A 今後は、今まで以上に防災の観点から都市計画を進めるべきです。特に、日本の場合は「災害アセスメント」が重要だと考えます。災害アセスメントとは、自然災害の危険性と、建物やライフラインの分布などの社会的条件を評価し、長期的な視点で災害対策を強化するための基礎資料のことで、例としては「データに基づいた避難経路の確保」などが挙げられます。現在の都市計画では、まだその認識が弱いといえるでしょう。もちろん、大地震に備えて自宅の中に特別に強度の強い空間を備えるといった、個人レベルの対策も必要です。

Q 一人ひとりが防災意識を高めていくために、何をすべきでしょうか。

A 「災害の日常化」が大事です。例えば、いつも買い物に行く時に通る道を「ハザードマップ」で確認し、浸水の可能性があるか調べるなど、災害時を常に意識して暮らすということです。いざという時に、避難経路として使おうとしていた道が通れないことに初めて気づいたら、必要以上に気が動転してしまいます。普段の生活の中で一人ひとりが防災を意識することが大切ですが、そのためには行政の工夫も必要です。

Q 初めに着手するべき対策は何でしょうか。

A 備蓄はすぐに始めるべきです。私は目安として分かりやすく「3日は自力でしのぎましょう」と提唱しています。今の日本の状況からいえば、各家族がまず3日間耐え忍べば、行政等が手当てをしてくれるでしょう。食料以外の備えも必要ですから、最近私はかなり大きな「蓄電池」を買いました。明かりだけでなく、電気コンロも使えるくらいの容量があるものがおすすめです。

Q 災害が厳しい日本において、国はどう対応するべきだと考えますか。

A 1995年時点と比較して、防災インフラ予算をアメリカは約2倍、イギリスは約3倍に増やしていますが、先進国の中で日本だけが半減させています。国が真摯に防災に向き合っている姿を国民に見せれば、国民も「政府がここまでやってくれるなら、私たちも3日間は自力で耐えられるように備えよう」と思うはず。今この国に足りないのは、国民に向けた政府の強いメッセージではないでしょうか。

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大石久和(おおいし・ひさかず)氏
1970年、建設省入省。同省道路局局長、国土交通省技監を経て、公益財団法人土木学会第105代会長などを歴任。現在は、一般社団法人全日本建設技術協会会長、国土学総合研究所長。YouTubeチャンネル「大石久和のオンライン国土学ワールド」を2021年7月に開設。著書に『「危機感のない日本」の危機』(海竜社)などがある。

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